Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
グラフェンには「格子ひずみによってベクトルポテンシャルが生じる」という特殊な性質がある。特に、格子ひずみが周期的に変化する場合には、グラフェン本来の周期とは異なる周期性を持った超格子構造が形成される。このような超格子構造の形成により、グラフェンの性質を左右する電子構造が変調することが理論的に予測されている。本研究では、「1軸ひずみによる1次元モアレ超格子」「周期ひずみによるひずみ超格子」という2種類の超格子構造において、超格子導入が電子構造に与える影響を明らかにする。
物質の電気伝導特性や光学特性を左右するバンド構造を制御することは、基礎・応用の両面でその物質の可能性を大きく広げることに繋がる。代表的な2次元物質であるグラフェンでは、2018年にツイスト2層グラフェンが超伝導を示したことをきっかけに、モアレ干渉縞による超格子の研究が大きな潮流を形成している。この超格子によるバンド構造変調に新たな展開をもたらすため、本研究ではグラフェンの超格子構造に対して、新たに格子ひずみの自由度を加える。本研究で提案する超格子構造は「1軸ひずみによる1次元モアレ超格子」「周期ひずみによるひずみ超格子」である。これら2種の超格子において、超格子導入がバンド構造に与える影響を明らかにすることを目的として研究に取り組んだ。2022年度は以下のことを行なった。・周期歪みを導入したグラフェン電界効果トランジスタを作製し、その電気伝導特性の評価を行なった。周期歪み特有の現象は見られなかったものの、周期的な凹凸に由来するホール効果を観測した。・密度汎関数法の手法により、周期歪みを導入したグラフェンの電子バンド構造の数値シミュレーションを行なったところ、周期歪み導入によるバンドギャップの形成が示唆される結果が得られた。・新たな周期歪み導入のために、周期構造を持つ有機結晶の薄膜化とその有機結晶を用いたグラフェンへの周期歪み導入を試みた。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
All 2022
All Presentation (1 results)