走査プローブ顕微鏡を用いた2.5次元物質の創製と評価
Publicly Offered Research
Project Area | Science of 2.5 Dimensional Materials: Paradigm Shift of Materials Science Toward Future Social Innovation |
Project/Area Number |
22H05448
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (II)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉本 宜昭 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (00432518)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥11,180,000 (Direct Cost: ¥8,600,000、Indirect Cost: ¥2,580,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 |
Outline of Research at the Start |
二次元物質の上に異種元素を配列した系を2.5次元物質と定義し、新奇物性の発現を目指した研究を行う。超高真空中で二次元物質に様々な異種元素を吸着させ、走査プローブ顕微鏡による原子操作によって異種元素を配列させて2+αの次元を持つ物質を創製する。構造や組成を原子レベルで確定させたうえで、多角的な局所物性計測によって、その物性を明らかにし、次世代デバイスのための機能発現の指針を得る。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、超高真空中で2.5次元物質を作製して、大気に暴露することなく走査プローブ顕微鏡によって異種元素の自在配列と物性評価を行う。これまで、走査プローブ顕微鏡によって、固体表面において、個々の原子を元素同定して、原子操作によって異種元素を自由に配列させる研究を行ってきた。走査プローブ顕微鏡とは、鋭い針を試料表面上でスキャンさせて、針先端の1つの原子と、表面の個々の原子との間の原子間力や電流などを計測して、個々の原子をイメージングする顕微鏡である。走査プローブ顕微鏡の中でも絶縁体も観察できる原子間力顕微鏡(AFM)を主軸に研究を行ってきた。また、AFMと走査トンネル顕微鏡(STM)が複合化した低温装置も稼働しており、多様な2.5次元物質の分析を行っている。特に、銀基板上に吸着した酸素分子の単層膜の精密な分析に成功した。STMとAFMによって、単層膜を高分解能観察したところ、これまでに言及されていないモアレ構造が確認できた。これを詳細に分析することによって、STMやAFMでは直接観察されていない基板の銀原子の配列に関する情報を得ることができる。それにより、観察されている酸素分子の格子形状や基板に対する単層膜の回転角度を精度よく分析できることがわかった。基板との回転角度が大きいものについては回転エピタキシーとなっていることが判明し、それに伴う格子歪みが定量的に理解できた。一方、回転角度が小さいものについては、酸素分子の単層膜は基板とは不整合となっていることがわかった。AFMによる個々の酸素分子のイメージングによって、酸素分子の分子軸が変調されていることが示唆され、回転の自由度を伴った2.5次元物質であると位置づけられることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
銀基板上に超高真空中で酸素分子を低温吸着せることによって、酸素分子の単層膜を作製した。酸素分子がスピンを持つために、低次元スピン系として興味がもたれる。低温超高真空AFM/STMによる高分解能観察によって、酸素分子の格子形状と基板との回転角度を精密に分析することができた。回転エピタキシーとなっているドメインにおいては、基板との相互作用によって、格子が二等辺三角形から著しく歪んでいることが判明した。一方、不整合となっているドメインにおいては格子歪みが測定誤差の範囲で認められなかった。したがって、先行研究で指摘されていたスピンによる格子歪みが無視できることが判明した。しかしながら、酸素分子の最短距離がスピンを加味したダイマー距離と一致していることから、最密な方向においては反強磁性秩序があることが示唆された。分子軸が変調している2.5次元物質であるが、スピンと関係した興味深い物性が発現している可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
銀基板上に超高真空中で酸素分子を吸着した系には、別の高密度相があることが電子線回折の研究などで知られている。高密度相においては酸素分子が互いに距離が近いために磁気秩序による格子歪みが観測にかかると期待される。そのような磁気秩序が相境界や欠陥付近でどのようになるのかを調べることによって、単層膜の2.5次元物質としての性質を明らかにする。一方、全く異なる2.5次元物質としてシリセンをベースとした系もAFM/STMによって局所分析する。具体的には、シリセンの上に原子を吸着させた系において、原子サイトごとの活性度の多様性に関する情報を得る。また、吸着させた原子は原子操作によって配列をデザインすることができるので、それによってシリセンの構造を変化させる研究も行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(16 results)
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[Presentation] Small bandgap in atomically precise 17-atom-wide armchair-edged graphene nanoribbons2022
Author(s)
H. Yamada, H. Hayashi, J. Yamaguchi, H. Jippo, A. Shiotari, M. Ohtomo, M. Sakakura, N. Hieda, N. Aratani, M. Ohfuchi, Y. Sugimoto, S. Sato
Organizer
On-Surface Synthesis International Workshop (OSS22)
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Int'l Joint Research
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