3次元モダリティー解析法による配偶戦略の性差を生み出す分子神経基盤の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Census-based biomechanism of circuit construction and transition for adaptive brain functions |
Project/Area Number |
22H05483
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (III)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹内 秀明 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (00376534)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | 最初期遺伝子 / オキシトシンシステム / 配偶戦略 / Tet-ONシステム / オキシトシン |
Outline of Research at the Start |
メダカはオスとメスで配偶戦略が異なっており、メスは「見知った(親密な)パートナー」を積極的に選択する傾向がある。一方でオスは特に異性の好みを持たない。しかしながら、オキシトシンシステムが欠損するとメスは異性の好みを失う。一方でオスは「親密なメス」に対する異常な好みを持つようになる。よってメダカにおいてオキシトシンはメスとオスで逆の効果を持つ。このことからオキシトシンの性差発現機序を解明することによって、動物の配偶戦略の性差を生み出す神経基盤の理解につながる。本研究では 3次元モダリティー情報と細胞種センサス情報を統合してオキシトシンの性差発現機序の解明を目指す
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はメダカの終脳と視蓋のオスとメスの両方のサンプルを用いて実験を行い、細胞分離過程のストレスで最初期遺伝子の発現が誘導されない条件で、メダカ脳のscRNA-seqの実施に成功した。方法は摘出したメダカ終脳を低温条件下のプロテアーゼ(真菌由来のプロテアーゼ)処理後、物理的な攪拌(先の開いたチップによるピペッテング)により1細胞レベルに分離した(細胞生存率80%以上)。分離した細胞を10X Genomics Chromiumにより、分取、バーコーディング、ライブラリー作製を行った。そして次世代シークエンサーを用いて3’部分配列のシーケンス(バーコード26塩基+125塩基)を行った。結果はメス・終脳(7,383細胞)、メス・視蓋(5,346細胞)、オス・終脳(7,078細胞)、オス・視蓋(8,597細胞)を回収し、そのトランスクリプトームデータを得ることに成功した。また1細胞あたりのリード数は41,694リード/cell(メス・終脳)、57,513リード/cell(メス・視蓋)、47,769リード/cell(オス・終脳)、41,766リード/cell(オス・視蓋)、1細胞あたりの遺伝子数805(メス・終脳)、484(メス・視蓋)、832(オス・終脳)、646(オス・視蓋)、1細胞あたりの UMIは1,608(メス・終脳)、1,074(メス・視蓋)、1,744(オス・終脳)、1,542(オス・視蓋)UMI/cellのリファレンスデータを取得できた。1細胞あたりの遺伝子数が少ないのは、メダカゲノムデータベースを確認したところ、3’部分配列(polyA付近)が遺伝子モデルに含まれないケースが(3割程度)多いことがわかり、2023年度はゲノムデータベースの整備も必要になることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シングルセルトランスクリプトームを用いた実験は順調に進んでいる。一方で、最初期遺伝子(c-fos, egr-1 )のプロモーターとTet-ONシステムを用いて、全脳において1細胞レベルで賦活化ニューロンをGFPラベルできる遺伝子改変メダカの確立が遅れている。c-fos, egr-1プロモーター依存に神経興奮依存のrtTAの転写誘導が確認できたが、翻訳レベルでの発現誘導ができなかった。そこでコンストラクトを作成しなおし、Tet-OFFで動く遺伝子改変メダカを作成しなおした。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は行動実験及び癲癇誘導剤添加実験を実施する。「行動実験→解剖→細胞分離→メタノール保存」を実施し、Chromium(10x Genomics 社)が設置された大阪大学または基礎生物学研究所で「RNA-seqライブラリー作成」を実施する予定である。神経組織を細胞分離した状態でメタノール保存(6週間以内)をしてもscRNA-seqの結果に大きな影響を与えないという報告(BMC Genomics 22: 420, 2021)をもとに、本研究ではメタノール保存した細胞でscRNA-seqを実施するプロトコルを確立する。メタノール保存したサンプルを用いたscRNA-seqがうまくいかない場合は、凍結脳組織を用いた単一核-RNA-seqを実施する。脳の凍結組織(ゼブラフィッシュ)から単一核-を分離するキットは市販で販売されている。この場合は、東北大学で「行動実験→脳解剖→液体窒素保存」を実施し、基礎生物学研究所で「単一核分離」「RNA-seqライブラリー作成」を実施する。メダカc-fos 遺伝子のイントロン部分をプローブにして in situ hybridization法を実施すると賦活化したニューロンの核だけが染色されることを既に確認している。またTet-ONシステムではなく、Tet-OFFを用いた遺伝子改変メダカを用いて、全脳において1細胞レベルで賦活化ニューロンをGFPラベルできるか確認する。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)