歌学習発達に伴う聴覚記憶神経回路の高次機能適応センサス
Publicly Offered Research
Project Area | Census-based biomechanism of circuit construction and transition for adaptive brain functions |
Project/Area Number |
22H05515
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (III)
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
杉山 陽子 (矢崎陽子) 沖縄科学技術大学院大学, 臨界期の神経メカニズム研究ユニット, 准教授 (00317512)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥10,140,000 (Direct Cost: ¥7,800,000、Indirect Cost: ¥2,340,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
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Keywords | 歌学習 / 感覚運動学習 / 聴覚 / 臨界期 / 神経回路 / ソングバード / 記憶 |
Outline of Research at the Start |
発達臨界期には外界から受ける刺激に対応し、神経回路が形成されることで様々な機能が発達する。本研究はキンカチョウの歌学習をモデルとして用い、親の歌の聴覚記憶に関わる高次聴覚野の神経回路の神経細胞群とその投射先の領域の神経細胞群を単一核RNA-seqにより遺伝子発現プロファイリングを行い、発達を追った遺伝子発現の変化を明らかにする。これにより聴覚野の記憶神経回路が発達を追ってどの様に運動学習、社会行動に適応するのか明らかにする。本研究の成果は高次機能障害といった疾患の病態生理学の理解へも貢献が期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
生後の「臨界期」には外界から受ける刺激に対応し神経回路が形成され、機能が発達する。臨界期は感覚、運動、高次機能とそれぞれの機能が順に発達するように形成されており、初期の感覚神経の発達は、後の運動、高次機能の発達を左右する。歌を学習するトリ、ソングバードは、ヒトの言語発達と同様、幼少期に親の歌を聴いて覚え、これを模倣することで歌を学習する。申請者の研究室ではこれまでに、ソングバードの一種であるキンカチョウでは親の歌を聴くことで、高次聴覚野の一つであるNCM核に親の歌に対して特異的に反応する神経細胞群が現れることを明らかにし、さらにこの神経細胞群が歌学習の時にのみ運動野であるHVC核に投射することを見出した。本年度はこの細胞群の遺伝子発現プロファイリングを単一核(single nuclear, sn)RNA-seqにより行うための予備研究、条件設定を行った。本年度は領域内共同研究の制度を利用させていただくことで、新たな手法をスムーズに学ぶことができ、またこれらの実験を所属研究機関でも行えるよう、システム構築を行った。 cFosプロモーターとTetOnシステムを用い、特定の時期に活動した神経細胞にEYFPを発現させるAAVベクター(AAV-cFos-TetOn-EYFP)を用い、EYPを発現する細胞群の遺伝子発現プロファイリングを行うことで、それが可能であることが確認された。またEYPを発現する細胞群と発現しない細胞群の遺伝子発現を比較することで、幾つか候補となる遺伝子群を見つけることが出来た。その中には神経投射、シナプス形成に関わるものも存在し、これらの遺伝子について、今後その発現を任意に操作する研究を行うため、その準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は目的の遺伝子群から遺伝子発現プロファイリングを行うため、予備研究、条件設定を行った。本年度は領域内共同研究の制度を利用させていただくことで、新たな手法をスムーズに学ぶことができた。また、同様のシステムを所属研究機関でも行えるよう、システムの構築をスタートさせたが、これもほぼ順調に進んでいる。 遺伝子プロファイリングにおいても、神経の投射、シナプス形成に関わるような遺伝子群が候補遺伝子として挙がってきており、今後の研究に繋げられるような結果が出ている。この様に、研究は順調に進んでいるため、研究はほぼ計画通りに進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本年度の研究から発達を追った神経回路形成に関わる遺伝子群の人為的な操作により、この遺伝子群の歌学習における役割を明らかにしていく。特に歌の学習に関わるNCM核の神経細胞群と、この神経細胞群が歌学習の時にのみ運動野であるHVC核に投射し、その後は消失するという現象に関わる候補として挙がってきた神経投射、シナプス形成に関わる遺伝子群に注目する。すでにこの中の一部の遺伝子についてはその操作に必要なプラスミドの準備を進めている。 これらの実験と併せて、昨年度に行った発達期の歌学習に関わるNCM核の神経細胞群の遺伝子プロファイリングを再確認する研究を行い、論文などに纏めて発表するようにする。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)