Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
表皮は外界からの病原体侵入における免疫の最前線である。ランゲルハンス細胞は表皮に局在する特殊な免疫細胞であり、侵入してきた病原体を取り込んで活性化するとリンパ節に遊走して免疫応答を誘導する。ランゲルハンス細胞が持つ受容体であるランジェリンは病原体表面の糖鎖を認識して細胞内に取り込む。ランジェリンが作る取り込み小胞は梯子状の細い膜構造に丸い小胞が接続した「テニスラケット」様のバーベック顆粒を形成する。このバーベック顆粒はHIVウイルスの感染を防御するとして注目されているが、その構造や仕組みの多くは不明である。本研究ではクライオ電子顕微鏡を用いてバーベック顆粒による感染防御機構を明らかにする。
バーベック顆粒の構造解析が前年度で終了したので、メゾ複雑体の次のターゲットとして膀胱上皮細胞に特異的に存在するfusiform vesicleを選んだ。膀胱に尿が貯留し膨張すると、fusiform vesicleは上皮の表面積を大きくするためにapical面に移動する。そしてuroplakin plaqueと呼ばれる構造で上皮表面を多い、尿が組織中に逆透過することを防ぐ。このuroplakin plaqueをブタの膀胱から精製し、クライオ電子顕微鏡で三次元構造解析することで、膀胱上皮のバリア機能のメカニズムを明らかにした。当初、バーベック顆粒と同様にクライオ電子トモグラフィーによる解析を試みたがuroplakin plaqueは電子線照射による構造の歪みが大きく、通常の連続傾斜像撮影では高解像度の構造情報を得ることができなかった。そこで単粒子解析における古典的なアプローチであるconical tilt法を適用し、30°と55°の傾斜像を含めた単発の投影像から三次元再構成を行ったところ、アミノ酸側鎖が部分的に可視化できる程度まで解像度を向上させることができた。驚くべきことにplaqueの構成ユニットであるuroplakin hexameric complexは六角形に配列したヘキソシルセラミドに富む疑似結晶性脂質膜ドメイン内にembedされていることが可視化された。規則的に分子が並んだ脂質膜ドメインを哺乳類で可視化できたのはこれが始めてである。また尿路感染症に関与する重要な大腸菌結合部位の正確な位置を特定することで、従来の誤った説を否定することができた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results, Open Access: 2 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 1 results)
Communications Biology
Volume: 6 Issue: 1 Pages: 1018-1018
10.1038/s42003-023-05393-x
eLife
Volume: 11
10.7554/elife.79990