Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
求電子性分子である「酸化脂質」は、近年、炎症や細胞死の原因に密接に関与していることが報告されている。しなしながら、酸化脂質と蛋白質機能との関係は、ほとんど理解できていない。そこで本研究では、「システイン含有蛋白質と反応する酸化脂質の網羅的解析・評価」を目的とする。本研究から、求電子性分子「酸化脂質」と蛋白質中システインとの反応性に関する情報を提供できる。
本研究は、「システイン含有蛋白質と反応する酸化脂質の網羅的解析・評価」を目的とし、1)求電子性分子検出蛍光プローブの合成、2)酸化脂質由来求電子性分子の検出・解析及びリスト化、3)リスト化した酸化脂質と反応するシステイン含有蛋白質の特定、の3点を検討項目とした。昨年度までに蛍光団とSH基を結合させた新たな蛍光プローブを合成し、リン脂質としてPAPC(1-palmitoyl-2-arachidonoyl-sn-phosphatidylcholine)、PLPC(リノール酸含有)や、PDPC(ドコサヘキサエン酸含有)との反応性を評価した。本年度も引き続き実施し、SH基と反応しうる酸化リン脂質のリスト化が完了した。このリスト内には、これまでSH基と反応性の報告がない数十種類の酸化リン脂質を見出している。そこで、これらリストをもとに、蛋白質との反応性を評価した。まず、実際に細胞内でこれら酸化リン脂質が生成しうるか評価したところ、tBHP刺激下などで十分量の酸化リン脂質が生成しうることを上記検出プローブにて確認した。そこで、生成しうる酸化リン脂質の分子量情報をもとに、モデル蛋白質としてGAPDHと反応しうるかアダクトーム解析したところ、蛋白質内複数のSH基と酸化リン脂質分子が反応しうることを新たに見出した。さらに蛋白質抽出液と酸化リン脂質との反応解析を進めたところ、非常に多くの蛋白質SH基と酸化リン脂質が反応しうることがわかった。以上の結果は、生成した酸化リン脂質が、蛋白質と共有結合できる可能性を強く示唆するものであり、今後、これら修飾蛋白質の検出・評価・機能解析を進めることで、加齢や疾患など酸化リン脂質が生成しうる環境での蛋白質の機能変容の理解につながることを期待している。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biological and Pharmaceutical Bulletin
Volume: 47 Issue: 3 Pages: 641-651
10.1248/bpb.b23-00849
Volume: 47 Issue: 1 Pages: 104-111
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Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition
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Chem Comm
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