Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
幹細胞競合は、幹細胞選良の役割を担い、組織の恒常性維持に貢献すると考えられています。この仕組みを解明するには、幹細胞クローンの勢力を決定する責任遺伝子やストレスなどの環境要因を特定し、これが幹細胞の分化運命決定において果たす役割を明らかにする必要があります。そこで本研究では、幹細胞系譜追跡・遺伝子発現操作・細胞分化度解析を可能にするモデルマウスを作出し、in vivo系譜追跡により精子幹細胞競合の責任遺伝子・ストレスを特定すると共に、申請者独自開発の器官培養デバイスで幹細胞競合をin vitro再構成・観測し、特定した遺伝子・ストレスが精子幹細胞の運命選択において果たす役割を明らかにします。
単一の精子幹細胞をin vivo, in vitro双方で系譜追跡するための実験系を構築した。in vivoでの長期系譜追跡マーカーはR26R-nLacZを使用することで、肉眼で容易に精子幹細胞コロニーの局在、サイズを評価できるものを構築できた。一方in vitro系譜追跡にはR26R-Lyn-Venusを使用し、器官培養精巣での系譜追跡を可能にした。これにさらに、精子幹細胞レポーターRet-mCherry、GFRA1-EGFP、分化型制限細胞レポーターKIT-tdTomatoを組み合わせることで、系譜に含まれる各種分化段階の生殖細胞の占める割合も評価することを可能にした。精巣器官培養技術に関しては、従来法であるアガロースゲル上PDMSキャップ培養およびPDMSマイクロ流路デバイスの双方で、70日にわたる精子形成誘導培養を成功させ、単一細胞レベルでの観察も可能であることを確認した。精子幹細胞競合遺伝子として着目したTrp53については、その機能解析を進めている。一方、Cdkn1bについては、floxマウスの作製に遅れが生じ、繰越年度においてマウスの作出と解析を実施することとした。その他、幹細胞の動態制御に関与すると考えられる分子についても併せて解析を行うべく、floxマウスの導入と交配作業を推進した。
3: Progress in research has been slightly delayed.
Cdkn1b floxマウスの作出に遅延が出たため。
Cdkn1b floxマウスの作出を再度行い、予定していた解析を行う。
All 2024 2023 2022
All Presentation (13 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results, Invited: 1 results)