Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
研究代表者のこれまでの研究ならびに他の先行研究から、集団内のWntの不均一性は細胞競合により最終的には解消されるものの、その前段階としてWntリガンドの相互交換によりWntシグナルの格差の拡大を防ぐ仕組みがあり、この両者が重層的に機能することによって細胞集団の大きさと質が最適化されることが推察される。そこで本研究では、Wntリガンド交換による互恵的な細胞間コミュニケーションと細胞競合による競合的コミュニケーションが如何に連携しながら細胞集団を最適化するのかを理解することを目指す。
集団内の不均一性は細胞競合により解消される。しかしながら、研究代表者のこれまでの研究により、マウス胚の後端に位置する神経中胚葉前駆細胞集団においては、その前段階としてWntリガンドの相互交換によりWntシグナルの格差をできるだけ拡大させない仕組みがあり、この両者が重層的に機能することによって細胞集団の大きさと質が最適化されるという可能性が強く示唆される。本研究ではこの仮説を検証するために、Wntリガンドの相互交換すなわちパラクリンシグナルのみが欠失したWnt3aノックインホモ個体胚を用いた。この胚では、神経中胚葉前駆細胞集団内におけるWntシグナルレベルの不均一性が拡大するが、活性化カスパーゼ3抗体による免疫組織染色等により検出できるアポトーシスも亢進していた。このことから、Wntシグナルレベルの不均一性の拡大が細胞競合の出現頻度を高めていることが示唆された。本研究では同時に、神経中胚葉前駆細胞集団だけでなく、同様なWntリガンドが発現する神経管背側領域におけるWntリガンドの相互交換の意義についても検討した。神経管ではWnt1とWnt3aが機能的に補完しあうことから、パラクリンシグナルのみが欠失したWnt3aノックインホモ個体胚にWnt1変異導入したマウス胚を作成し、神経管の発生を詳細に検討した。当初の想定に反し、Wnt1/3aノックインホモ個体胚の表現型解析により、Wntによる制御が従来のモデルとは異なる機構で行われていることが示唆された。現在、その詳細についての解析を進めている。
1: Research has progressed more than it was originally planned.
神経管におけるパラクライン欠失Wntマウスの解析から、従来の定説とは異なるWntの作用機構が示唆された。この結果は当初の予想を超えた新しい発見につながる可能性を示唆しており、本研究は当初の計画以上に進展していると考えられる。
神経管の解析において従来の定説を覆すWntの作用モデルが示唆されたことから、その実証に向けた研究を進めていく。
All 2024 2023 2022 Other
All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (6 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 6 results, Open Access: 6 results) Presentation (10 results) (of which Int'l Joint Research: 10 results, Invited: 2 results)
Communications Biology
Volume: 7 Issue: 1 Pages: 254-254
10.1038/s42003-024-05881-8
Development, Growth & Differentiation
Volume: 68 Issue: 3 Pages: 248-255
10.1111/dgd.12915
Nature Communications
Volume: 14 Issue: 1 Pages: 1-16
10.1038/s41467-023-37350-x
Volume: 14 Issue: 1 Pages: 2115-2115
10.1038/s41467-023-37745-w
Molecular Biology of the Cell
Volume: 34 Issue: 11
10.1091/mbc.e22-10-0495
Developmental Dynamics
Volume: 253 Issue: 4 Pages: 435-446
10.1002/dvdy.659