Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
本研究では、人々のグループ(群れ)と一緒に移動しながら目的地まで誘導を行うロボットの構築を目指す。グループの誘導には、グループの一員として移動しながらも、時にはグループ全体の移動を制御するメカニズムの解明が必用不可欠である。そこで、センサネットワークを用いて、人々のグループに関する人々の位置を精緻に計測する。そして、生物の群れナビゲーションのモデルを利用しながら、その動きを再現する数理的・確率的なフォーメーション・モデルを構築する。構築したモデルをロボットに導入し、子供のグループを誘導するタスクを通じて、その効果を実フィールドで評価する。
本研究の目的は、ロボットが人々(グループ、群れ)と共に移動し、グループを別の場所に誘導するインタラクション技術の構築にある。そこで、初年度では、人々が利用する誘導技術を解明の基礎となるデータセットの構築を進めた。実際の商業施設における1年以上の人々の移動軌跡を解析し、グループの誘導を行う173件のデータを抽出した。大人がメインとなるツアー客101件および、子供を含んだグループ客72件のデータをデータセットとして構築し、ビデオデータや人位置データの分析を可能とするフレームワークの構築を進めた。また、商業施設におけるロボットの群衆ナビゲーションの予備実験を実施した。商業施設に設置したロボットが、商業施設の訪問客に対してツアーガイドを実施するというフィールド実験を実施した。その結果、ツアー客以外の通行客が時にロボットの移動中に前と割り込み、群衆ナビゲーション失敗させてしまうロボットの群衆ナビゲーションにのみ生じるユニークな問題が明らかになった。この現象により、実フィールドにおける群衆ナビゲーションでは、単にグループの一員としてロボットのモデル化を行うだけでは不十分であり、他の通行人をロボットにとって潜在的な敵対者としたモデル化が必要である点を示唆している。また、こうした敵対的な行動を低減させるうえで、ロボットの移動速度が効果的であることが明らかになった。そこで、単に目的地に最短距離で向かうのでなく、速度を一定に保つために時に回り道を行うデツアーモデルを構築した。本デツアーモデルによって、敵対的行動の発生確率の抑制につながることが明らかになった。
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
ロボットの群衆ナビゲーション中において、他の通行人がロボットに対して結果的に敵対的とも思われる行動を引き起こすユニークな問題が明らかになった。この問題は、当初予定していない内容であったが、ロボットの速度に注目したデツアープランニングにより解決策を見出すことができた。この解決策を群衆ナビゲーションへの統合を進めることで、計画通りに研究を進めることが可能である。
ロボットの群衆ナビゲーション中において、他の通行人がロボットに対して結果的に敵対的とも思われる行動を引き起こすユニークな問題が明らかになった。この問題は、当初予定していない内容であったが、ロボットの速度を落とさず移動するデツアープランニングという解決方法を見出せた。そこで、このデツアープランニングの要素を組みこんだ群衆ナビゲーションの構築を進める。具体的には、データセットの解析を進め、群れの一員として動くためのナビゲーションモデルを当初の予定通り構築する。その上で、2022年度での研究で明らかになった、敵対的な行動を抑制させるデツアーモデルと統合を進める。本統合により、移動ナビゲーションの複雑性が向上するが、全方位台車での対応が可能な見込みである。ロボットへ統合モデルを実装後、商業施設内でのフィールド実験を繰り返し、ロボットの改良を進める。最終的には、子供を含んだグループの誘導を行い、目的地まで群れ(グループ)の一員として誘導できることを商業施設内で実証する予定である。