Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
「光」は動植物に行動や運動のベクトルを与え、個体のみならず集群さらに生態系を動かすエネルギーとなっており、走光性はシアノバクテリアから脊椎動物まで生命進化で一貫して維持されてきた。また動物における「走光性の逆転現象」は古くから知られ、概日リズムによるものから1秒以内で惹起されるものまで多様である。我々は近年、アルテミアノープリウス幼生において、海洋ゴミの主要成分であるタイヤゴムに含まれる不揮発性水溶性化合物が極めて低い濃度で瞬時に走光性を正から負へと逆転させることを見いだした。このメカニズムを明らかにするとともに海洋廃棄ゴムの成分が生態系へ与えるインパクトを検証する。
甲殻類アルテミアが示す正の走光性(光源側へ移動する性質)が、天然ゴム製品から容易に遊離する水溶性の未同定物質により負の走光性へ逆転することを発見した。まず、逆転誘起物質を同定するために走光性逆転を定量化するアッセイ系の確立を試みた。正方形の水路を作り4方向から青色LEDを照射して水路を回転遊泳させて、ゴム物質を加えて逆転させる系を作った。流速測定方法を検討している。次にゴム物質の精製を試みた。加熱濃縮で失活しないこと、ODSカラムに吸着し、60%EtHOで溶出すること、また逆転誘起物質は綿繊維に良く吸着することがわかった。さらに甲殻類アルテミアは、多くは正の走光性を示すものの、一定の割合で負の走光性を示すものがいる。この負の走光性は反光源側へ集合する性質を示し、光路から外れて暗いところへ留まる性質ではないことから、負の走光性の定義を見直した。つまり、光の反射など弱い光を好んで走行する性質であるかを実験的に確かめた。予備結果ではそのような傾向が見られた。さらに光波長への選好性と馴化、アロタキシスについても検討している。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results, Open Access: 2 results)
Marine Biology
Volume: 170 Issue: 5 Pages: 1-8
10.1007/s00227-023-04204-5
Volume: 170 Issue: 4 Pages: 1-9
10.1007/s00227-023-04194-4