Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
渦相関法と大型自動チャンバーを用いて同じエリアの生態系CO2フラックス(NEE)と土壌CO2フラックスの同時連続観測を行う。まず,土壌の物理・化学性から微生物呼吸を推定するモデルを作成し,土壌呼吸から根呼吸を分離する。また,チャンバー内の細根動態を測定し,根呼吸と細根動態および地温の関係性をモデル化する。標準化した根呼吸とNEEから推定される群落光合成(GPP)との連動性と周期性についてウエーブレット解析を行い,両者の遅れ時間の季節変化を定量化する。
苫小牧,天塩および富士北麓の落葉樹林サイトにおいて,土壌CO2フラックス(根あり区と根切区)および生態系スケールでのCO2フラックスの連続観測を実施した。また,各サイトの各チャンバー内から土壌試料を採取し,物理(バルク密度,間隙率,レキ率)・化学(炭素・窒素含有率)の分析を行った。さらに,苫小牧サイトと天塩サイトの根ありチャンバーに細根動態(バイオマス,成長速度)を測定するための透明容器を設置した。容器内にフラットベッドスキャナーを挿入して定期的に土壌断面を撮影し,細根動態を定量化する予定である。予定しているデータが揃うのは来年度からになるが,苫小牧サイトで今年度に観測された土壌CO2フラックスのデータを用いた土壌呼吸の分離に関する予備解析の結果について報告する。これまでは,複数の根切り区の平均値をサイト全体の微生物呼吸の代表値とし,複数の根あり区のCO2フラックス(土壌呼吸)の平均値からその値を引くことで,サイトの根呼吸の代表値を求めることが一般的であった。しかし,この方法では微生物呼吸の空間変動性が考量されず,また,根呼吸の空間変動を評価することも難しい。そこで,地温,土壌水分(水分飽和度),土壌の物理化学性などを説明変数として,各根切りチャンバーの微生物呼吸を機械学習(ランダムフォレスト:RF)を用いてモデル化した。RFモデルは,従来の経験的モデルに比べて,より良好に微生物呼吸の時空間的変動を推定することができ,土壌呼吸の分離(根呼吸の推定)に有効であることが示された。
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
研究期間が2年の研究であり,また3サイトともに冬季間は積雪のため土壌CO2フラックスの観測を休止している。そのため,初年度は実験設備の準備と設置などを行い,試験的な観測と予備的なデータ解析を行う計画であった。したがって,現在の進捗状況は「おおむね順調」である。
3サイトともに,融雪終了後の4~5月に土壌CO2フラックスの連続観測を再開し,細根動態の観測を開始する予定である。積雪前の11月まで観測を継続し,データの蓄積を行う。観測期間に現地で回収したフィールドデータを順次解析し,12月以降,全ての結果を取りまとめる予定である。
All 2023 2022
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results)
Plant and Soil
Volume: 482 Issue: 1-2 Pages: 57-72
10.1007/s11104-022-05674-0