Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
これまでの脳科学研究によって、社会規範を犯した人に対する制裁の欲求など道徳や倫理のメカニズムが脳内に存在することが示されてきた。その一方で、私たちは、そのような人の不遇な境遇や事情を知ることで、その人を哀れみ、同情することがある。その際に、同情と犯罪者への責任追及との関係性が問題となるが、脳内でどのようなメカニズムが働いているかについては未解明のままであった。そこで今回の研究では情状酌量に着目し、同情と量刑判断に関連する脳機能を探索した。被験者は、模擬裁判の裁判員として、被告人が犯罪行為に至った背景を基に量刑を決定するとともに、被告人に対してどの程度同情できるかを評定した。被告人が犯罪に至った背景に関する説明書を被験者に読んでもらい、そのときの被験者の脳活動をfMRIにより解析した。その結果、被告人への同情と量刑判断は、他者理解や道徳的葛藤に関わる内側前頭前皮質と襖前部という共通した脳領域の働きによるものであることが判明した。一方で、情状酌量傾向には個人差があり、その個人差は、主観的体験に関わる右島皮質の活動と関連しており、同情により刑を軽くしやすい人ほど島皮質の活動が高いことが明らかとなった。2009年に裁判員制度が我が国において導入され、法律に基づき人を裁くことは、とても身近な話となった。今回の研究の成果は、法律的判断の訓練を必ずしも十分には受けていない一般人の、裁判審理における情状酌量に関連する脳機能メカニズムを調べた世界で最初の研究成果である。
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All Journal Article (5 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (3 results)
精神科
Volume: 22(4) Pages: 375-381
Nature Communications
Volume: 3 Pages: 759-759
PloS ONE
Volume: 6(2) Pages: 216919-216919
Psychiatry and Clin.Neurosci.
Volume: 63(2) Pages: 191-198
日本生物学的精神医学会誌
Volume: 22(4) Pages: 257-261
130005395348