Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
ラットリングとは、ある種のカゴ状構造を有する結晶中での非調和大振幅振動と考えられているが、その本質の理解は未だ十分とは言えない。また、ラットリングとカゴに存在する伝導電子との相互作用がもたらす超伝導に関しても未解明な部分が多い。これまでの研究において対象となってきた物質は、βパイロクロア酸化物、スクッテルダイト、シリコン・ゲルマニウムクラスレートであるが、ラットリングに特徴的な物性が現れているのはβパイロクロア酸化物に限られている。今後、ラットリングの研究をさらに発展させるためには物質の種類を増やし、系統的な研究を行うことが重要である。本研究においては、ラットリング物質の新しい候補として、AxV2Al20(Al10V)に着目し、AがAlとGaの良質な試料を合成、および、比熱、電気抵抗、磁化などの測定を通して、その物性を明らかにした。比熱測定の結果から、Gaで8KのAlで20Kのエネルギーを有するラットリング振動が観測された。特の前者はこれまで報告された最も低いエネルギーであり、極めて激しいラットリング振動が起こっていることが分かった。しかしながら、超伝導は弱結合に留まり、ラットリングと伝導電子の相互作用はβパイロクロア酸化物と比較して小さく、ラットラーのイオン性の違いがこの原因であると思われる。また、Ga試料の場合には、カゴの約5%がGaに20-30%がAlによって占有されることも明らかとなった。現在、さらに超伝導とラットリングに関するミクロな情報を得るため、NMR測定が行われている。また、フランスのILL研究所において非弾性散乱実験が進行中である。これらの結果を総合してラットリング現象の新たな側面が明らかになるものと期待される。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results) Presentation (12 results) (of which Invited: 2 results) Remarks (1 results)
Journal Solid State Chemistry
Volume: 191 Pages: 246-246
10.1016/j.jssc.2012.03.038
Journal of the Physical Society of Japan
Volume: 81 Issue: 12 Pages: 123702-123702
10.1143/jpsj.81.123702
J.Phys.Soc.Jpn.
Volume: 81 Issue: 2 Pages: 023703-023703
10.1143/jpsj.81.023703
J. Phys. Soc. Jpn
Volume: 81 Issue: 12 Pages: 124707-124707
10.1143/jpsj.81.124707
http://hiroi.issp.u-tokyo.ac.jp/saito/Hiroi_Lab.html