Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
近年、レーザー冷却技術の目覚ましい発展により、希薄気体におけるボース・アインシュタイン凝縮(以下ボース凝縮)やフェルミ縮退などのマクロ量子系が比較的容易に実現できるようになった。さらに、最近では光格子中に捕獲した冷却原子に光誘起ゲージ場を印加し、電荷を持たない中性原子で磁場中の荷電粒子の振る舞いを再現させる技術が注目を集めている。そこで本研究の目的は、量子縮退した冷却イッテルビウム原子を2次元の異方性光格子に閉じ込め、光誘起トンネリングと呼ばれる現象を用いて、光格子プラケット1周当り2pa(ここでaは任意の実定数)のグローバル位相を与えて実効的なゲージ場を創生することにあった。しかし昨年に、この手法を用いた実験がドイツのマックスプランク研究所において先に成功し、その影響で本研究も実験方法の根本的な変更を迫られることとなった。本研究の手法は光格子用のレーザーが2種類、光誘起トンネリング誘起用レーザーが2本と必要な光源の数が非常に多く実験装置のセットアップが非常に困難であるという問題が生じていたため、ドイツの研究に追従するには時間的・労働力的にあまりに不利であることが予想されたからである。そこで方針を切り替え、光格子を用いずにバルクの原子集団に対してスピン軌道相互作用を誘起する実験を行った。実験に用いた原子はYbでスピン禁制遷移1P1-3P2間の2準位系を用いて行った。その結果、ボソンの同位体174Ybにおいてスピン軌道操作用の実装に成功した。また、フェルミオン同位体173Ybにおいても現在実験を進めており、実現まであとわずかのところまで到達している。また173Ybの3P2状態の寿命を測定し、実験に十分な寿命を持つことも確認した。今後はs波超流動状態の173Ybにスピン軌道相互作用を実装し、トポロジカル絶縁体の量子シュミレーション実現に向けて研究を進めていく予定である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2012 2011
All Presentation (3 results)