Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
1.ゲルミリン錯体(金属-ゲルマニウム三重結合化学種)の反応性研究ゲルミリン錯体の反応性の研究はこれまで全く未知であるが、金属-ゲルマニウム三重結合も有効な反応場と考えられるため、幾つかの有機分子との反応性を研究した。まず、基本的な求核剤として、水およびアルコール(メタノール、エタノール)との反応を行ったところ、室温で速やかに付加反応が進行し、高収率でヒドロキシ基あるいはアルコキシ基を置換基として持つ新しいヒドリド(ゲルミレン)錯体が生成した。この結果は、このゲルミリン錯体が、Fischer型ゲルミリン錯体であることを示している。また、過剰のエノン(メチルビニルケトン、エチルビニルケトン)を加えると、室温で2分子のエノンが取り込まれカップリングしてπ-アリル(カルボニル)錯体を比較的収率よく与えた。このエノンとの生成物には、ゲルマニウム-酸素-炭素-炭素-炭素の連結を持つ5員環骨格が含まれている。また、タングステン-ゲルマニウム間にオキシπ-アリル部位が挿入した形をとることが、X線結晶構造解析および各種分光学的測定から明らかにされた。このような反応および生成物はこれまで全く例が無く、ゲルミリン錯体の三重結合の特異な性質を反映している。2.新規ヒドリド(ゲルミレン)錯体の合成研究当研究室で開発したゲルミレン錯体は、金属およびゲルマニウム上の両方に水素を持つが、ゲルマニウムの水素を最も小さなアルキル基のメチル基に置き換えたゲルミレン錯体も反応機構の解明および新しい反応の発見のために重要な合成ターゲットと考えられる。そこで、このタイプの錯体を合成するために、まず、前駆体となるメチル(トリシル)ジヒドロゲルマンの合成を行った。このジヒドロゲルマンとメチル(カルボニル)タングステン錯体との反応を行ったところ、目的の生成物が生成することを確認した。
All 2012 2011
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (1 results)
Angewandte Chemie International Edition
Volume: 51 Issue: 12 Pages: 2930-2933
10.1002/anie.201107501
有機合成化学協会誌
Volume: 70 Pages: 131-141
10030481285