Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
平成24年度には、配位したカルボキシラト基を分子内塩基とした炭素ー水素結合切断反応の機構解明と触媒反応への応用を行った。RuH2(PMe3)4と各種カルボン酸の反応をメタノール中で行う事により、カチオン性カルボキシラト錯体[Ru(O2CR)(PMe3)4][O2CR] (1)を合成・単離した。このカチオン性カルボキシラト錯体は非極性溶媒中では中性のビスカルボキシラト錯体[Ru(O2CR)2(PMe3)4] (2)に異性化し、これらのカチオン性錯体と中性錯体は平衡状態にあることが明らかとなった。錯体1もしくは2を50-70℃に加熱するとカルボキシラト基の炭素ー水素結合が切断され、ルテナラクトン 3 とカルボン酸が生成した。ルテナラクトンは、極性溶媒中ではカルボン酸との反応により錯体2を与えるため、この炭素ー水素結合の切断反応は可逆反応であることが明らかとなった。この炭素ー水素結合の切断反応は、例えばアルカリ金属のカルボキラト塩を添加しても反応が促進されなかった。また、プロトンスポンジなどを加えても反応は加速されなかった。一方で,PMe3の添加により反応が抑制されることから、反応中にリンの解離プロセスがあることが示唆された。これらの結果および熱力学ならびに動力学的検討結果より、本反応はビスカルボキシラト錯体2から反応が進行し、1つのカルボキシラト基が分子内で炭素ー水素結合を協奏的に切断し、水素をプロトンとして受容しているものと考えられた。本反応は、外部から添加された塩基ではほとんど反応が促進されないため、カルボキシラト基が分子内塩基として有効に機能する分子内求電子置換機構であると考えられる。また、この反応を利用して位置選択的なカルボン酸のメタノールによる触媒的重水素化反応を実現した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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ChemCatChem
Volume: 5 Issue: 5 Pages: 1101-1115
10.1002/cctc.201200686
Journal of Organometallic Chemistry
Volume: in press
Organometallics
Volume: 31 Issue: 13 Pages: 4639-4642
10.1021/om300326q
Volume: 31 Issue: 10 Pages: 4006-4019
10.1021/om300234d
有機合成化学協会誌
Volume: 70 Pages: 1267-1280
10031137477
Volume: 31 Issue: 1 Pages: 381-393
10.1021/om200974c
Volume: (in press) Pages: 46-57
10.1016/j.jorganchem.2012.02.018
Volume: 30 Issue: 19 Pages: 5110-5122
10.1021/om200345h
Volume: 30 Issue: 4 Pages: 768-777
10.1021/om100956f
Volume: 30 Issue: 6 Pages: 1307-1310
10.1021/om200091n
J.Organomet.Chem.
Volume: 696 Issue: 2 Pages: 632-635
10.1016/j.jorganchem.2010.09.020
Volume: 696 Issue: 10 Pages: 1927-1930
10.1016/j.jorganchem.2010.10.037
http://www.tuat.ac.jp/~hirano/kohrc/