Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
カルベンは一般式CX2で表わされる中性の2価炭素種であり、その高い反応性から有機合成における重要な活性種として用いられてきた。本研究では、遷移金属フラグメントを置換基としたカルベン(メタラカルベン)の創出とその反応活性種としての性質の解明を目的とした。メタラカルベンは、電気陽性な金属中心の高いシグマ供与性とルイス酸性により、従来の有機カルベンには見られない特異な反応性の発現が期待される。昨年度までの研究により、2核Ruイミド・メチリジン錯体[(Cp*Ru)2(μ-NPh)(μ-CH)]BF4 (1)の低温での脱プロトン化により、ジルテナカルベン[(Cp*Ru)2(μ-NPh)(μ-C:)] (A)の発生を確認した。本年度はAの反応性を詳細に調査したところ、AがCO2やsp3C-H結合を含む様々な基質を活性化することが判明した。CO2およびカルコゲンとの反応ではAが求核的性質をもつことが、また、イリドPh2S=CH2との反応では求電子的性質をもつことが実証された。一方、AとH2Oおよびイソシアニドとの反応では、カルベン炭素とRu中心の協同的な反応性が見られた。H2Oとの反応では2つのO-H結合が活性化され、カルベン炭素にOが、またRuおよびイミド窒素にHが結合した錯体4が得られた。形式的に水がO原子とヒドリドおよびプロトンとに分解されたことになる。一方、t-BuNCとの反応では、Ru中心からカルベン炭素へのイミド原子団移動反応が誘起されC=N結合が形成されることが分かった。さらに、AとPR3との反応では、Cp*の分子内C-H結合切断により錯体6が得られたが、これは、ジルテナカルベンの求核性、求電子性およびRu-Cの協同的反応性の3つが発現した結果進行したものと考えられる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2012 2011
All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (6 results) (of which Invited: 1 results)
Journal of the American Chemical Society
Volume: 134 Issue: 41 Pages: 17027-17035
10.1021/ja3005682
Coord.Chem.Rev.
Volume: 256 Issue: 5-8 Pages: 574-588
10.1016/j.ccr.2011.10.025
Organometallics
Volume: 30 Issue: 8 Pages: 2160-2172
10.1021/om1011227