Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究課題では、タンパク質の分子内運動を精度良く検出可能なX線1分子追跡法に着目し、情報伝達に関わる分子として重要な膜タンパク質の揺らぎを伴う分子内構造変化を高精度(ピコメートル精度)、且つ高速(数マイクロ秒)に計測する基盤技術開発に取り組んだ。X線1分子追跡法は、数10nm程度の微結晶を標的タンパク質分子に標識し、タンパク質分子の内部運動に連動した微結晶の動きをX線・ラウエ斑点の動きとして時分割追跡する手法である。ピコメートルスケールという驚異的な検出精度を持つ反面、その時間分解能は数10m秒程度にとどまり、数μ秒から数百μ秒スケールで動作すると予想されるタンパク質・サブユニットの微細な運動や「ゆらぎ」をモニターするのは困難であった。本研究課題ではX線1分子追跡法の高速化を実現するため、微結晶の良質化や高速カメラ・高速シャッタの導入による実験システムの最適化に取り組み(投稿準備中)、膜タンパク質受容体のリガンド受容に伴う内部運動変化を検出することが実現した。神経伝達に重要な役割を担っているアセチルコリン受容体(nAChR)やアセチルコリン結合タンパク質(AChBP)をサンプル対象として、1分子高速測定(10μs/f ~100μs/f)を行ったところ、アゴニスト受容に伴って結合サイトのねじれ運動と傾き運動の2つの回転軸の運動が活性化されること、またアンタゴニストが作用することでこれらの運動が不活性化されることがわかった。これらの知見は、電子顕結晶学による最新の知見と合致する。現在、金ナノ結晶表面の化学修飾によって、その可溶化あるいはリガンドラベル化を進めている。今後、様々なタンパク質分子等へ適用する予定である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2013 2012 2011
All Presentation (17 results) (of which Invited: 2 results)