Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では、酸素(O2)貯蔵タンパク質ミオグロビン(Mb)のヘムπ電子系に対して与えた系統的な摂動とそれらの電子操作がMbの機能に及ぼす影響を解析し、これらインプットとアウトプットの関係を決める基本原理を解明する研究を通して、Mbの機能調節の分子機構を解明した。強い電子求引基であるトリフルオロメチル(CF3)基をヘム側鎖として導入することによりヘム鉄原子の電子密度(ρ)を変化させた一連のヘムをMbに組み込んだ再構成Mbの研究から、MbのO2親和性はρの減少に伴って低下することを発見した。また、Mbのヘム鉄は、通常、還元型Fe2+と酸化型Fe3+のいずれかの状態で存在するが、O2がMbに結合するのはFe2+の状態の時のみであり、Fe3+の状態では結合しない。O2が結合したMbでは、Fe2+が自発的に徐々にFe3+に酸化される反応である自動酸化が起こり、Mbとしての機能が損なわれる。私共は、ヘムπ空間の電子操作によりρを減少させるとMbの自動酸化が抑制されることも明らかにした。このように、本研究では、ヘムπ空間の性質を通して、MbのO2親和性と自動酸化をそれぞれ調節する手法を発見することに成功し、Mbを模倣した人工O2運搬体の創製に役立つ重要な知見を得た。また、四重鎖DNAのπ空間で、グアニン塩基4つにより形成されるG-カルテットが多座配位子としてヘム鉄(Fe3+)に結合してヘム-DNA複合体を生じることを明らかにした。そして、ヘム-DNA複合体におけるヘムとG-カルテットの配位結合の性質、ヘムの電子構造は、DNA塩基配列に依存することを明らかにすると共に、複合体のヘム鉄が示すペルオキシダーゼ活性は、ヘムの電子構造によって調節されることを明らかにした。このように、四重鎖DNAπ空間とヘムπ空間の融合を通して調製した機能性核酸の酵素活性調節の分子設計に有用な知見を得た。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Inorg. Chem.
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http://www.chem.tsukuba.ac.jp/yamamoto/