Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
海底熱水系で見つかる(超)好熱菌は,熱水噴出孔下から運ばれてきたものであると考えられている.この熱水孔下生命圏については分子生物学や地球化学に基づく状況証拠が報告され始めているが,その直接証明に成功しているとは言えない.本研究では、統合国際深海掘削計画IODP Expedition 331で取得されたコア試料の微生物学解析を通し、中部沖縄トラフ伊平屋北海域の深海熱水噴出孔下に広がる海底下微生物圏の解明を試みた.前年度の解析で、原核生物由来のDNAの抽出とPCR増幅に成功し,熱水孔下の高温環境中においても検出されることを明らかにできた.その後の解析でコアの最深部にはHot Water Crenarchaeotic Group IVというアーキアが優占していることが分子系統解析から明らかになった.微生物の生息限界深度は分子生物学解析,培養,酢酸分解活性などからも支持された.その棲息環境は50-90℃であることが温度計で計測されているが,古地温からの推定では150℃付近の高温を記録していた.過去の高温熱水活動が現在の微生物生息範囲を制限していると予想される.浅部では活発な微生物活動が検出されており,特に嫌気的メタン酸化反応が現場のメタンの挙動を支配していることが同位体化学と放射性同位元素を用いた活性測定によって明らかにされた.嫌気的メタン酸化古細菌に特有の機能遺伝子であるmcrAを用いた解析を行ったところ,他の熱水活動域で検出される環境クローンと相同性が高く,高温環境下に特異的な嫌気的メタン酸化古細菌のグループが生息していることが示唆された.本結果により,中部沖縄トラフ伊平屋北海域の深海熱水噴出孔下には,海底熱水によって運ばれるメタンを利用することでエネルギーを獲得する生態系が存在することが明らかにされた.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2012 2011
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (6 results)
石油技術協会誌
Volume: 第77巻 Pages: 374-383
10031126269