Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では,多重機能性金属錯体の開発とその多重機能性の制御の視点から,一次元金属鎖による金属伝導性とセミキノナトラジカル配位子のπスピンによる強磁性,さらに,原子価互変異性に基づく分子双安定性を利用した多重機能性の制御が可能な一次元金属-ジオキソレン錯体の開発を目指した.24年度は,昨年度合成に成功した一次元ロジウム(I)-セミキノナト錯体[Rh(3,6-DBSQ-4-NO2)(CO)2]について,結晶構造の温度依存性と電気伝導性について調べるとともに,磁性の再現性の確認を行った.格子定数の温度依存性では,180 K付近で傾きに変化が見られた.ロジウム原子の平均二乗変位の温度依存性では,一次元鎖方向の温度因子で同じく180 K付近で跳びが見られ,この温度より高温側ではロジウム原子が一次元鎖方向に大きな振幅で熱振動することがわかった.この錯体のRh 3dのXPS スペクトルでは,Rh+ と Rh2+のピークの面積比から,Rh+-セミキノナト と Rh2+-カテコラト が 10 : 1 の割合で存在していることが示唆された.この錯体の電気抵抗率は温度の低下とともにわずかに増加し,227 K付近で極大値を示した後減少し,180 K以下で急激に増加した.180 Kより高温側の電気伝導率は 0.029 S cm-1 と比較的高い値を示し,活性化エネルギーも13.1 meV と小さい.これは混合原子価状態をとっているためだと考えられる.180 K付近での異常には,ロジウム原子の熱振動が大きく関与していると考えられ,180 K以上の温度ではロジウム原子が大きな振幅で振動し,比較的高い伝導性を示すのに対し,180 K以下ではロジウム原子の異常な熱振動が収まり,エネルギーギャップが大きく開くと考えられる.また,磁性の再現性についても確認できた.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2013 2012 2011
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Inorg.Chem.
Volume: 50 Issue: 10 Pages: 4368-4377
10.1021/ic102461z