Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
免疫応答においてBリンパ球が活性化され胚中心細胞を経てクラススイッチした高親和型抗体を産生する形質細胞及びメモリー細胞へ分化する際、抗体遺伝子のクラススイッチ組み換えと体細胞突然変異に必須の酵素AIDが発現する。本酵素は近年、細胞のがん化や、自己反応性Bリンパ球の排除に働く事が明らかにされ、抗体遺伝子の改変を超えた未知の機構により細胞運命決定に関わる可能性が示唆されている。我々は、Bリンパ球以外にTリンパ球の一部もAIDを発現する事を初めて明らかにし、しかもそれがIL-10とIFN-γを産生し加齢マウスに蓄積する特徴的なTリンパ球の亜集団に起きている事を、明らかにした。PD-1等の表面マーカーの解析からこのリンパ球が加齢や悪性腫瘍罹患に伴い出現蓄積する抑制性Tリンパ球のサブセットであり、重要な意味を持つと考えられた。そこで、本細胞集団分化の機構を解明する為にAicdaを発現しているTリンパ球を、遺伝子Aicdaの発現をレポーターで可視可できるトランスジェニック動物のシステムを利用して分画し、遺伝子発現パターンを網羅的に解析した。その結果、1)内因性のAicda転写産物が確かに上昇していること。2)Aicdaの制御領域に結合配列が認められる転写因子のうちNF-kB c-Myb E2FのmRNAが上昇していること。3)AID陽性Tリンパ球で上昇している遺伝子の転写産物の上位60には細胞周期制御関連遺伝子が5個、炎症関連遺伝子が8個含まれて居た。これら知見は、抗体遺伝子を発現しないTリンパ球でも活性化刺激に伴いAID発現を起こす事を示唆する。その機能的意義や、またAicda遺伝子の制御についての新たな研究の必要性を提起する重要な知見である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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120003163668
http://www.riken.jp/cell-fate/