Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では、ABCトランスポータ・CFTRチャネルのATP依存性ゲーティングサイクルを非加水分解ATPアナログであるピロリン酸PPiを用いて詳しく解析することにより、NBD2量体が部分解離しているのにもかかわらずポアが開口状態にある新規中間状態Xiの存在を発見した。このことは、一回の開口イベント中に複数個のATP分子が加水分解されうることを示している。さらにR352C変異CFTRが、開口中に起こるATP加水分解の前と後でシングルチャネルコンダクタンスが変化することを発見した。このR352C-CFTRに新規中間状態Xiの安定性に影響を与えるW401F変異を導入してその効果を検討することにより、ATP加水分解サイクルとゲーティングサイクルとのルーズカップリングが追確認できた。同じ現象がABCトランスポータ・スーパーファミリーの他の輸送ポンプ分子にも起こっているとすれば、一定の外部仕事(基質1分子の上り坂輸送)に使われるエネルギー(加水分解されるATP分子の数)が確率的に変化していることを意味しており、ATPエネルギーの理解において極めて重要な発見である。つぎに、高速原子間力顕微鏡(高速AFM)を用いたCFTRチャネルの1分子動態観察を中心とした研究を行なった。まず、単離精製した可溶化CFTR蛋白の高速AFM観察を行なった。この条件下ではCFTRはAFMステージ上で横倒位になっており、以前の単粒子解析(SPA)の結果と同様に、卵型のCFTR分子が2量体を形成しているのが確認できた。さらに、SPAでは捉えられなかった活性調節(R)ドメインと思われる構造物が、CFTR分子の細胞内側底面部で揺らいでいるのを観察できた。これは、CFTRにおけるRドメインの分子内での位置および動態についての初めての情報である。また、上記の実験に並行して、CFTRとの比較対象の候補であるBKCaチャネルおよびSKCaチャネルの研究も行なった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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