Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
目的1(ミオシン結合により誘起されるアクチンフィラメントの一方向的な構造変化の検出):昨年度までに、アクチンとS1のキメラタンパク質とピレン標識した正常アクチンのブロック共重合体を作製し、ATPを添加したときのピレン蛍光強度の変化をモニターすることで、キメラタンパク質に起きた構造変化が、P端側に隣接するアクチンに伝播することを見出していた。しかし蛍光強度の変化幅が小さく、説得力に乏しいことが問題であった。変化幅が小さいのは、大量に混入するピレン標識アクチンのホモフィラメントの蛍光が大きいためだと考えられたので、今年度は、ピレン標識アクチンのホモフィラメントの分離除去を試みたが、おもわしい成果が得られなかった。そこで方針を大きく変更し、ミオシンの結合しやすさを指標にアクチンフィラメントの一方向的な構造変化を検出することとした。この場合は、電子顕微鏡または高速AFMによる検出となるので、ブロックコポリマーを精製する必要はない点が有利である。電子顕微鏡を用いた予備実験により、キメラタンパク質のホモポリマーブロックの両側に正常アクチンを重合させたブロックコポリマーがある程度生成され条件を確立した。目的2(キメラタンパク質と正常アクチンが互いに共重合しにくい現象のメカニズム解明):昨年度までは、Alexa488とAlexa594という二つの蛍光色素で標識されたキメラタンパク質と正常アクチンの共重合を蛍光顕微鏡で観察し、二つの蛍光がフィラメント中で均一に混ざり合わないことから、キメラタンパク質内のアクチンは、正常アクチンとは異なる構造をとるのだろうと推測していた。しかし今年度の研究により、Alexa594にはタンパク質を凝集させる傾向があることが判明し、蛍光の不均一性はAlexa594の人工産物である可能性が排除できなくなった。今後は別の蛍光色素を用いて実験する必要がある。
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http://staff.aist.go.jp/t-uyeda/HP/Welcome.html