Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
将来の気候変動などに対する作物の応答、ひいては食糧生産量を定量的に評価することは重要な課題である。これまで、圃場実験データに基づいて各環境要因に対する作物の応答のモデル化は行われてきたが、一方、広域を対象とした作物統計データの蓄積が進んでいる。とりわけ日本では、農林水産省による土壌環境基準点・定点調査は、全国数千点を対象として土壌環境条件と作物収量との関係などのデータを網羅している。本研究では、作物生長のシステムモデルに対して土壌環境基準点・定点調査などの網羅的観測データに基づいて、データ同化法を適用することによって、モデルを高度化し、複合環境に対する応答メカニズムを解明していくとともに、環境変化が生産性に及ぼす影響の推計を目的とする。今年度は、作物の生長・生産性推計における炭素および窒素の動態過程をデータ同化法に基づいて作物成長システムモデルに取り込み、気候変動に対する応答性を解析した。土壌に含まれる窒素は作物の生育ならびに収量形成に非常に重要な役割を果たし、土壌中の窒素動態には土壌炭素の動態は深く関わる。そこで、昨年度までに作成した土壌炭素動態モデルをコムギの生育・収量推計モデルに組み込み、粒子フィルター法とメトロポリス・ヘイスティング法のハイブリッドデータ同化によって、時間変化も考慮したモデルパラメータを推定した。そのモデルに対して、気温上昇ならびに大気CO2濃度上昇に対する土壌炭素,窒素,収量の応答を調べた。その結果、土壌炭素については、気温上昇により分解量が増加し炭素蓄積量は減少するが,一方で大気CO2濃度の上昇による土壌への有機物入力量が増えることにより、気温上昇による減少と拮抗する状況が見られた。この傾向は窒素についても同様の傾向があるが,窒素の場合には大気CO2濃度がさらに上昇すると減少に転じる。これは作物の生長に伴う窒素吸収量が増加するためである。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Forest Res.
Volume: 18(1) Issue: 1 Pages: 49-59
10.1007/s10310-012-0385-7
Soil Biology & Biochemistry
Volume: 46 Pages: 191-199
10.1016/j.soilbio.2011.11.005