Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
他者の視線移動の知覚処理には身体運動処理と社会情報処理のレベルが存在するが、その処理領域については解明されていない。自己顔視線手がかり課題は、自己顔による標的検出抑制と視線手がかりによる検出促進を指標に、身体運動レベルと社会情報レベルの視線移動処理過程研究を可能にする。本研究では機能的MRIを用いてこれらの処理神経基盤を同定し、領域間の情報の流れを解明するとともに、標的検出抑制をもたらす自己顔の認知的特徴・処理過程について、認知科学・臨床的な検討を行う事を目指した。その成果は顔認知の動的社会情報処理の知見に重要なアップデートをもたらすと期待された。平成23年度に、自己顔視線手がかり課題を機能的MRI実験に実装するための課題改良と装置の準備を行い、平成24年度はこれを用いて脳活動計測実験を行った。その結果、本研究課題に関する今後の重要な技術的課題が明らかとなった。本研究計画では先行研究に従って視線処理の神経基盤を前頭前野内側、側頭極、上側頭溝後部皮質と想定し、これらの領域の脳活動が自己顔認知に受ける影響を精査する計画であった。しかし、実際にはこれらの領域の賦活は全く観測されなかった。この結果に基づいて、同様の課題を用いた先行研究を再び注意深くレビューすると、目立たないながら数多くの全く異なる結果やネガティヴ結果が報告されている事が明らかとなった。視線課題は社会情報処理の神経基盤を同定する基準的な課題と目されている状況に鑑み、この事実は重要な意味を持ち、今後の検討が重要である。また、自己顔認知と社会情報処理の関連に関する全く新しい知見も得られた。自己顔認知時の右上頭頂小葉後部の活動が、他者との関係性に関する社会認識と負の相関を持つ事が明らかとなった。その解釈として、身体的自己認知と社会的認識に共通する抑制性の処理が推測されるが、その妥当性の検証は今後の課題である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2013 2012 2011
All Journal Article (2 results) Presentation (6 results) (of which Invited: 2 results) Book (2 results)
Brain and Nerve
Volume: 64 Pages: 753-760
東北醫學雑誌
Volume: 123 Pages: 58-61