Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
ヒトは魅力的な顔を好む。顔の魅力は時代や文化によってさまざまであるが、実験心理学の研究からは、平均顔や対称顔が好まれることが知られている。平均顔はその集団の遺伝的な逸脱の少なさを反映しており、それゆえ疾病などにかかりにくい。すなわち適応度が高いという説明が有力である。もしそうならば、ヒトと近縁なサルも、同じように平均顔を好むと考えられる。しかし、この仮説はヒト以外の動物で検証されていない。本研究は、ヒトが魅力的と感じる顔(平均顔、対称性の高い顔など)をサルも同様に選好するか、新たな選好法を用いて検討することである。研究1年目に以下の2つのテストを行った。平均顔の選好テスト;従来、乳児や動物の選好は、いわゆる選考注視によって調べられて来たが、この方法は簡便であるものの、すぐに馴化が生じるという欠点も備えている。そこで本研究では、新たな選好法を提案し、この手法の有効性を検討することも目的とした。2枚の異なる写真をモニターに提示し、サルが選んだ写真だけが画面に残るようにし、選択した写真を残り6回選ぶと報酬が得られるという実験を行った。2組12枚のセットを10個体のサルでテストしたところ、有意な偏りは見られなかった。対称顔テスト:平均顔テストと同じ手続きで、2個体分の対称顔と非対称強調顔を提示した。ただし、同じ個体の写真が同時に提示されないようにしたところ、非対称強調顔を9個体中3個体が有意に多く選択した。これらの結果は、対称顔が遺伝子や発育の良さを表現しているために好むという進化心理学の説明とは一致しない。また、新たに提案した選好テストが、サルの選好を調べるのに有用であることも示している。研究2年目のH24年度には、これらの成果を国際シンポジウムや班会議で発表した。さらに刺激の材料として使用したサルの顔写真1300余りを、班員らと協力してデータベース化し、ウェブで公開した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2013 2012 2011
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results) Book (1 results)
認知科学
Volume: 20(1) Pages: 46-58
10031156754
BRAIN and NERVE
Volume: 64(7) Pages: 793-798