Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
近年、自閉症スペクトラム障害もしくは統合失調症の診断基準に達していないが、これらの疾患の臨床的症状を強く示す”サブクリニカル”水準の健常者に対する早期介入の必要性が議論されている。これらサブクリニカル群の健常者は、顔刺激に対し、患者と類似した反応を示すことが予想される。しかし、この点に関しての実証的検討はほとんど行われておらず、顔認知の個人差を生じる生物学的基盤についての知見も確立されているとは言い難い。本研究では、サブクリニカル群における自閉症スペクトラム・統合失調症様症状の客観的指標となる生物学的・行動学的マーカーの探索的解明を目的として、健常者の大規模集団を対象に、①自閉症・統合失調症様症状評価、②顔認知能力計測、③唾液中ホルモン計測、④遺伝子多型計測を実施した。その結果、統合失調症の遺伝的素因の一つと考えられている一塩基多型が、成人の顔認知を特徴づける大域的処理能力の個人差に関連するとの新規知見を得た。同様に、統合失調症との関連が指摘される胎児期男性ホルモン暴露量の指標となる2D:4D Digit Ratioが、大域的処理能力の独立した予測因子となることを見出した。一方、疾患群を対象とした研究では、統合失調症患者を対象にデータ収集を実施した。表情認識能力の評価においては、モーフィングにより作成した感情強度が異なる表情画像の認識能力を群間比較したが、疾患群と健常群の間に有意な群間差は得られなかった。一方、患者の表情画像にも健常群と異なる特徴は見いだされなかった。今回は、投薬中で症状が安定している統合失調症患者を対象に実験を行った。今後は、表情認識・表出能力と症状との関連性についてより詳細な分析を加える必要があると考えられる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2012 2011
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results)
Brain and Cognition
Volume: 80(2) Pages: 266-276
脳と神経
Volume: 64(7) Pages: 815-820