細胞競合を介した上皮の秩序形成ロジックの解明
Publicly Offered Research
Project Area | From molecules, cells to organs : trans-hierarchical logic for higher-order pattern and structures |
Project/Area Number |
23127508
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大澤 志津江 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80515065)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Project Status |
Declined (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥9,360,000 (Direct Cost: ¥7,200,000、Indirect Cost: ¥2,160,000)
Fiscal Year 2012: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2011: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
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Keywords | 細胞競合 / 細胞間コミュニケーション / 秩序形成 |
Research Abstract |
多細胞生物の器官形成のその恒常性維持は、組織を構成する細胞同士の相互連絡を通じた細胞増殖と細胞死のバランスの調節によって成立する。近年、このような細胞間ネットワークを介した組織形成調節機構に「細胞競合(cell competition)」と呼ばれる現象が重要な役割を果たしていることが分かってきた。細胞競合とは、隣り合う2つの細胞間で引き起こされる組織への適応度の競合であり、この競合の"勝者"は"敗者"を細胞競合によって排除してその場を占有する。これは、多細胞生物の器官構築過程で生じる「揺らぎ」を吸収することでそのロバストネスの向上に貢献するだけではなく、癌発生初期における癌前駆細胞の組織からの排除、成熟癌細胞の優勢的増殖、幹細胞ニッチにおける優良幹細胞の選択、さらには肝幹細胞移植の際の肝再構築過程においても機能していると考えられている。本研究では、ショウジョウバエ上皮をモデル系として用い、細胞競合を介した上皮の秩序形成の分子基盤を明らかにすることを目的とする。平成23年度は、ショウジョウバエ上皮に誘導した極性崩壊細胞が細胞競合によって組織から排除されるモデル系を用い、極性崩壊細胞("敗者")を取り囲む正常細胞("勝者")の"細胞非自律的"な役割と機能を明らかにするため、正常細胞側に突然変異を導入する"遺伝学的スクリーニング"を実施した。すなわち、P因子挿入(1499系統)あるいはEMS(Ethyl Methane Sulfonate: 1378系統)により突然変異を導入し、細胞競合機構に異常をきたすショウジョウバエ突然変異系統をスクリーニングした。その結果、極性崩壊細胞の排除を抑制する系統(eld: elimination-defective)を56系統および極性崩壊細胞の排除が促進される系統(sel;super-eliminator)を20系統それぞれ単離した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記遺伝学的スクリーニングが予定以上のスピードで進行し、細胞競合に異常をきたす興味深い突然変異体を複数単離することに成功した。さらに、そのうちの一部の変異体については責任遺伝子を同定することにも成功している。したがって、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
上記スクリーニングをさらに大規模に展開するとともに、単離されたeldおよびsel系統について、それらの責任遺伝子を複数のアプローチ(染色体欠損マッピング、組み換えマッピング、SNPマッピング、既存の変異体及びRNAiトランスジェニックフライを用いた候補マッピング)を駆使することで同定する。責任遺伝子を同定した後は、それらの生理機能と細胞排除における役割を遺伝学的、組織化学的、及び生化学的手法によって明らかにする。また、細胞競合をリアルタイムにて可視化するシステムを構築し、細胞競合現象のダイナミクスを明らかにする。さらに、これらの解析結果を統合することで、細胞競合による上皮の秩序形成ロジックを理解するための数理モデルを構築する。これを実験的に検証することで、細胞間コミュニケーションを介した上皮の秩序形成ロジックの普遍的法則を見いだすことを本研究の最終的な目標とする。
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Report
(1 results)
Research Products
(11 results)