Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
日本人の2人に一人はがんに罹患し、認知症の有病者数が約700万人になるという推計がある。超高齢社会の看護ケアは、従来の概念を超え、対象の連続性と生涯発達を捉える視点を強化することが重要な課題となる。本研究計画は「認知症高齢者のがんサバイバーシップを支える緩和ケア看護学の創出-無治療でも豊かな生涯を送れる社会のために」を主題とし、認知症とがんを共にもつ後期高齢者(がんの無治療選択者)に対する緩和ケアの実態を、診療情報等関連資料、アンケートとインタビュー調査を用いた後ろ向き研究により明らかにするものである。
令和5年度は、全国の介護施設・訪問看護ステーションに従事する看護職、介護支援専門員660人を対象に、地域で暮らす認知症の高齢者が、がんを発症したときのがん治療と緩和ケアの実態について、WEB調査を実施した。期間は2023年12月4日~13日、調査内容は、①対象の経験、緩和ケアの実践・困難感尺度等、②認知症の診断があり、日常生活自立度判定基準Ⅲ以上かつ75歳以上の高齢者で、がんを発症し看取りに至ったケース1例のがん発症期から臨死期におけるがん治療や緩和ケアの実際等を想起していただき、各質問への回答を得た。記述統計、がん治療の有無および緩和ケア実施の有無に影響する因子について解析した。該当ケースの担当経験ありは342人、抗がん治療有り群34.5%(118人)、緩和ケア有り群67.9%(231人)であった。抗がん治療無しかつ緩和ケア無しが39.4%であった。生活場所、がん告知の対象、がん治療、疼痛評価実践、看取りケア実践、医療者間のコミュニケーション困難度との関連を検討し、生涯学としての考察を行っている。また、看護職、介護支援専門員6名を対象とした、インタビュー調査を実施した。今後、質的統合法(KJ法)により、分析する予定である。調査の中間解析報告は、令和6年度に開催するがん看護関連学会、老年看護関連学会、領域会議で発表する予定である。
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
当初計画と、調査順序は変更しているが、令和5年度調査の結果を踏まえて、既存資料調査、当事者調査を焦点化して実施することが必要と考えたため、順調に進捗している。
令和6年度は、令和5年度に実施したアンケート、インタビューを踏まえ、既存資料調査、当事者調査を実施する。得られた資料より、無治療・治療のいずれであっても、認知症を患うがんサバイバーが、生涯にわたり、安心して暮らせるための緩和ケアの課題を考察する予定である。
All 2024 2023
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (12 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 2 results) Book (1 results)
日本看護科学学会誌
Volume: 44
栄養-Trend of Nutrition
Volume: 38(4) Pages: 190-197