Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
本研究は、これまで顧みられてこなかった考古遺物である糞石に焦点をあて、当時の食性を解析するために、微細観察分析(実体顕微鏡観察・X線CT)と脂質分析という最新の分析技術を活用し、全く新しい食性復元法の開発を目指すものである。従来、「食べたもの」から見た食研究に偏っていたが、「出たもの」も明らかになることで、両者を組み合わせた総合的な食研究が可能となる。その結果、当時の食生活の変化や食べ合わせ、メニュー、食物選択を復元するための研究の可能性が広がる。
令和5年度は、糞石の全国データベースの構築と分析方法の確立に注力した。まず、全国データベースは、既存研究及び全国遺跡総覧に基づき、データ化を行い、原典に当たった。残念ながら、すべてを原典から確認することはできなかったが、概ね確認できた。現在、データベースの公開方法を検討している。次に、分析の方法の確立については、横浜市称名寺貝塚(縄文)と元町貝塚(縄文)の試料を用いて検討を行った。最終的には、3D化・X線CT・表面観察・脂質分析・炭素・窒素同位体比分析を行うことで、保存と多角的分析を行うことにした。理由としては、脂質分析や同位体分析、今後行うであろう古DNA分析などはすべて破壊を伴う。そのため、3Dでのデータ化と詳細な観察記録を残しておくことが重要であると考えた。これらの結果については、次年度に学会にて報告及び論文化する。また、分析の幅を広げるため、山形県押出遺跡から出土したクッキー状炭化物に関しても分析を開始している。分析としては、脂質分析と炭素・窒素同位体比分析を行った。
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
対象試料を適切に分析ができており、当初予定していたデータベースも完了している。また、新たな研究にも着手しており、順調に進展していると言える。
令和6年度は、遺構から糞石の起源が推測可能な試料を中心に分析を進めていく。
All 2024 2023
All Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)