Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
本研究では、弥生時代以降の農耕化の伝播に伴う日本の「食」の時空間的変遷を明らかにするため、土器試料から抽出した脂肪酸の水素安定同位体比を化合物レベルで分析し、従来法では識別が困難であった食材の起源(陸獣 or 淡水魚類、水棲動物の生息環境の違い)の解明を目指す。更に、土器試料から抽出した脂肪酸の水素安定同位体比分析と従来の分析手法を組み合わせることで本邦内陸部における稲作の伝播とそれに伴う水産資源利用の変遷を明らかにする。
縄文時代晩期から弥生時代における大陸系穀物の伝搬に伴い、古代人の「食」がどのように変化したのかについては未解明な点が多い。そこで本研究では、土器胎土に残存する脂肪酸の水素同位体比を分子レベルで測定することで、従来法では識別が困難であった陸獣と淡水魚類、水棲動物の生息環境の違いを明らかにすることを目的とした。今年度の研究では、北海道函館周辺で採取された現生の動植物試料45点を新たに分析し、含まれるパルミチン酸とステアリン酸の水素同位体比の分布を明らかにした。さらに、山梨県・下フノリ平遺跡と滋賀県・下之郷遺跡から出土した土器の残存脂肪酸の水素同位体比を測定し、現生食材の同位体分布比較することで、水素同位体比の古食性指標としての可能性を検討した。現生食材の分析からは、上記2種類の脂肪酸の水素同位体比を用いることで、従来識別が困難であった海棲動物と淡水魚、陸獣の寄与の詳細を明らかにできる可能性が高いことが明らかとなった。また、土器に含まれるパルミチン酸とステアリン酸の水素同位体比の分布から、主に陸上植物及び陸獣からの寄与が示唆された。遺跡別にみると、下之郷遺跡では陸上植物の領域にプロットされるものが多く、一部で陸獣の影響が示唆された。一方、下フノリ平遺跡では、両脂肪酸の水素同位体比が下之郷遺跡に比べ低い値を示しており、陸獣の影響を強く受けていることが明らかとなった。今後の展開として、海棲魚類や海獣の影響が推定されている土器試料の分析を行い、土器残存脂肪酸の水素同位体比測定の有用性の検討を更に進める必要がある。
令和6年度が最終年度であるため、記入しない。
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