Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
有機太陽電池等の動作機構の基礎には、分子集合体における光励起状態ダイナミクス(エキシトン動力学)がある。こうした系におけるエキシトン動力学は、構成分子の化学構造やパッキングといったミクロな構造に強く影響を受けるものであるから、逆に構造でエキシトン動力学を制御できる可能性があるともいえる。一方、どのような構造からどのようなエキシトン動力学が生じるかを予測することは必ずしも容易ではない。本研究では、分子構造を顕に扱えるエキシトン動力学シミュレーション手法を用いることにより、計算機上でエキシトン動力学を「観察」し、これを通じて系のミクロな構造とエキシトン動力学との関係を理解することを目指す。
前年度に引き続き、申請者の開発してきたpatchwork-approximation (PA)-based Ehrenfest法を小分子ドナー/非フラーレン型アクセプターで構成される有機太陽電池ドナー・アクセプター界面系に適用し、電荷分離ダイナミクスの実時間シミュレーションを行った。大規模系(多数の分子の集合体)を高速に扱えるという当該手法の特長を活かし、本研究では、分子間のパッキングの違いが電荷分離ダイナミクスに与える影響を調べた。具体的には、古典分子動力学シミュレーションにより乱れを有する界面構造を再現したのち、そこから複数の異なる局所構造をサンプルし、それぞれについて電荷分離シミュレーションを実施した。結果として、局所構造ごとに生成する電荷量が大幅に異なることを明らかにしたとともに、生成電荷量を増大/減少させる具体的な構造的因子についても明らかにした。以上の結果は、電荷分離ダイナミクスが局所的なパッキング構造に強く依存することを示すとともに、電荷分離に有利なパッキング構造を特定するための新しい手法を確立するものである。さらに、当初の計画を超え、当該学術変革領域内での共同研究を踏まえて様々な励起状態現象に関する計算化学的検討を行い、実験との連携に基づいてその詳細を明らかにした。例えば、カゴ状超分子錯体に内包されたIr(III)錯体の発光色がブルーシフトする現象について量子化学計算に基づく解析を行い、発光色変化の起源を定量的に明らかにした。また、ワイヤ状多核錯体におけるエキシトン移動ダイナミクスに関する解析を行い、エキシトンの分布や移動速度を決定づける因子である励起子カップリングや振電相互作用の大きさを定量的に評価し、当該系に対する時間分解分光測定実験の結果に説明を与えた。
令和6年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2025 2024 2023
All Journal Article (6 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Peer Reviewed: 6 results, Open Access: 2 results) Presentation (13 results) (of which Int'l Joint Research: 6 results, Invited: 7 results)
Nature Communications
Volume: 16 Issue: 1 Pages: 1367-1367
10.1038/s41467-025-56381-0
The Journal of Physical Chemistry A
Volume: 128 Issue: 29 Pages: 5999-6009
10.1021/acs.jpca.4c02422
The Journal of Chemical Physics
Volume: 161 Issue: 18 Pages: 184710-184710
10.1063/5.0227785
Volume: 161 Issue: 20 Pages: 201101-201101
10.1063/5.0238325
Volume: 159 Issue: 5 Pages: 054101-054101
10.1063/5.0159424
Chemical Physics Letters
Volume: 830 Pages: 140818-140818
10.1016/j.cplett.2023.140818