Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
エクソソームは、50~200 nm程度の細胞外小胞であり、細胞間のコミュニケーションを担っている。また、COVID-19に対するmRNAワクチン接種者の血中から、スパイクタンパク質(Sタンパク質)を表面に提示したエクソソームが検出され、生体と共生している可能性が示唆された。そこで本研究では、Sタンパク質提示したエクソソームを人工的に創成し、核酸送達マテリアルとしての応用可能性を検証する。
本研究では、生体と共生可能なウイルスを模倣したエクソソームの開発に取り組む。エクソソームは、細胞から放出される50 nm ~ 200 nm程度の小胞であり、細胞間のコミュニケーションの役割やがんの転移に関与している。近年、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質(Sタンパク質)が表面に提示されたエクソソームが確認されており、新たなエクソソームの機能や核酸送達マテリアルとしての応用可能性がある。本年度は、①Sタンパク質を提示した人工エクソソームの作製法の確立、②作製したSタンパク質提示人工エクソソームの物性および活性の評価に取り組んだ。①ヒトの細胞に近い脂質系を用いて、Sタンパク質を粒子表面に提示する方法を検討した。これまでに開発した脂質ナノ粒子作製用のマイクロ流体デバイスをもとに、Sタンパク質提示人工エクソソーム作製のために流路構造を最適化した。また、マイクロ流体デバイスへの送液条件を検討し、流路構造や送液条件が、生成する粒子の粒径やSタンパク質提示量に与える影響を明らかにした。②作製したSタンパク質を提示した人工エクソソームの粒径や多分散度、Z電位などの物性の評価および粒子表面へのSタンパク質の提示の評価を行った。また、Sタンパク質の提示と同時に内部への核酸の搭載を試みた。ELISAおよびフローサイトメトリーによって、Sタンパク質の提示を確認した結果、粒子作製条件によってSタンパク質の提示量を制御できることが分かった。また、粒子内部への核酸の搭載も確認された。細胞実験の結果、Sタンパク質が提示されている粒子は、提示されていない粒子よりも核酸送達性能が高いことが確認された。
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
研究計画のとおり、Sタンパク質提示人工エクソソームの作製法を確立し、物性および活性の評価を達成した。また、次年度に予定していた研究に一部着手できているため、概ね順調に研究は進展していると考えられる。
次年度は、Sタンパク質提示人工エクソソームライブラリーを構築し、細胞およびマウスでの評価を進める、これらの評価によって、Sタンパク質提示人工エクソソームの生体との共生関係について明らかにする。
All 2024 2023
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results, Open Access: 1 results) Presentation (13 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results, Invited: 5 results)
Nanoscale Advances
Volume: ー Issue: 8 Pages: 2166-2176
10.1039/d3na01073b
ACS Applied Materials & Interfaces
Volume: 16 Issue: 2 Pages: 2110-2119
10.1021/acsami.3c14714