Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
大規模量子分子動力学計算プログラムDC-xTB-MDと準安定結晶構造・反応経路探索プログラムGRRMを超秩序構造材料に適用して、超秩序構造材料の機能発現機構を原子レベルで解明する。DC-xTB-MDプログラムについては、実験的に取得されている密度などを参照としてxTB法のパラメータをデータ科学的に決定する手法を開発するなど、超秩序構造向けの改良・拡張を行う。DC-xTB-MDは、異種元素ドープ・複合欠陥系のダイナミクス等に応用する。GRRMは、触媒反応経路の予測のほか、準安定結晶構造探索とパーシステント・ホモロジー解析を組み合わせたアモルファス構造と結晶構造の対応付けにも利用する。
前期公募研究において、(1)複合的な欠陥を取り扱うことが可能な大規模量子分子動力学計算プログラムの開発、(2)網羅的結晶構造探索による準安定結晶構造とそのパーシステンス・ダイアグラム(PD)のデータベースによるアモルファス構造と結晶構造の対応付け、を行ってきた。本研究では、開発してきた手法を利活用し、また改良・拡張することにより、超秩序構造により発現する多様な電子的性質・動的性質・構造的性質を詳らかにし、領域内の融合研究に資する。(1)に関連して、Rnまでの全ての元素を扱うことのできるGFN-xTB法に分割統治(DC)法を導入した大規模多元素系の量子的分子動力学計算プログラムDC-xTB-MDを開発してきた。本年度はDFTBとxTBで取り扱い方の異なる水素原子への対応を行うことで、微量金属を含むタンパク質のような系も扱えるようになった。また、定圧シミュレーションへの拡張を開始した。また、これまで開発してきた半経験的ハミルトニアンを用いた手法については、数万原子系の動力学計算に目処が立つようになってきた。一方、半経験的ハミルトニアンによる大規模系計算には系統的に精度を改善する手段がなく、計算結果の妥当性を検証・保証する手段に欠けている。そこで本年度は、系全体の一部を切り出して計算を行うDC法の特徴を活かして、周期境界条件(PBC)計算をBloch基底ではなく実空間のGauss基底を用いたまま行うことができるPBC-DC-HF法を開発した。(2)に関連して、これまでは主にSiO2やMgOといった二元系のデータベースを構築してきたが、本年度は、三元系であるMgSiO3に対してデータベースを構築した。SiO2、MgOの場合とのPDの比較も行っている。
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
初年度に予定していたDC-xTB法の拡張とMgSiO3のパーシステント・ホモロジー解析は、おおむね計画通りに進んでいる。また、当初予定になかったab initio法に対するPBC計算による、半経験的ハミルトニアン利用の精度検証も進んでいる。領域内融合研究も進行中であり、順調に進展しているものと判断した。
(1)の手法は、これまで想定していたアモルファスだけでなく、生体反応にも応用を進めるよう、領域内での連携を拡張する。(2)の研究では、三元系になったことで探索時間が膨大となってしまうことが分かった。MgSiO3の準安定結晶構造探索は、現在も進行中であり、論文にするまでには二元系と限り同一の条件で探索を終える必要がある。この効率を上げる方法がないかについても検討を行いたい。
All 2024 2023 Other
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (13 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Invited: 2 results) Remarks (1 results)
Journal of Chemical Theory and Computation
Volume: 19 Issue: 15 Pages: 5007-5023
10.1021/acs.jctc.2c01204
Volume: 19 Issue: 17 Pages: 5886-5896
10.1021/acs.jctc.3c00500
https://sites.google.com/site/chemistmasatokobayashi/