バルク金属の多段階精密酸化プロセスによる酸素欠損型超秩序構造の創製と機能特性評価
Publicly Offered Research
Project Area | Progressive condensed matter physics inspired by hyper-ordered structures |
Project/Area Number |
23H04116
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (II)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松田 光弘 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (80332865)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
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Keywords | 酸素欠損 / 精密酸化プロセス / 強磁性 / 超秩序構造 / 金属酸化 / 室温強磁性 / 周期構造 / 第Ⅳ族基酸化物 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,ドーパントフリーにて高濃度の酸素欠損(空孔)が周期的に配列した「酸素欠損型-超秩序構造」を意図的に制御し,それら超秩序構造を有するフレキシブルなバルク成形体を作製するとともに,エマージェント物性の発掘を目的とする。超秩序構造形成の要となる高濃度の酸素欠損の導入には,金属板・箔を出発材料として「多段階精密酸化プロセス」を適用する。さらに,本プロセスの特徴を生かした「酸素欠損-サンドイッチ型超秩序構造」の実現も目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ドーパントフリーにて高濃度の酸素欠損(空孔)が規則的に配列した酸素欠損型-超秩序構造を制御しエマージェント物性の発掘を目指しており,本年度は以下の3項目について重点的に調査した。(1)バルクZr金属の多段階精密酸化制御による強磁性酸素欠損型ZrO2-xの創製:出発材料として金属Zr箔を用いて多段階酸化熱処理を施した結果,膜厚9μmにて高濃度の酸素欠損を有する単斜晶構造ZrO2-x相が生成しており,それらは約3~4 nmの間隔で周期的に配列していた。それら酸素欠損型-超秩序構造ZrO2-x薄膜は室温強磁性を示し,飽和磁化0.06 emu/gと残留磁化0.01 emu/gを有していた。(2)金属V箔の精密酸化制御による酸素欠損型VO2-xの創製と微細構造解析:出発材料として金属V箔に対し,低酸素分圧(PO2=1.0×10-4atm)制御下にて熱処理を施した結果,金属V箔の表面において数百nm厚さの酸素欠損型VO2-x膜が作製できた。HAADF-STEM観察の結果,室温にて単斜晶-VO2結晶粒内にナノドメイン状の正方晶-VO2相が分布しており,XPSの結果からもこれは酸素欠損の導入に起因したものといえる。(3)金属Hf箔の精密酸化制御による酸素欠損型HfO2-x透明薄膜の創製:金属Hf箔に低酸素分圧(PO2=1.0×10-4atm)制御下にて熱処理を施した結果,透明薄膜を呈し,室温にて飽和磁化7.4×10-4 emu/gと残留磁化6.5×10-5 emu/gを有していた。CTEM観察の結果,数百nmの結晶粒径を有する単斜晶-HfO2が形成されており,電子回折パターンにおけるextra spotから,酸素欠損の導入が示唆される。上記一連の研究成果について,研究論文1本,国内学会発表:5件,学生発表受賞:1件など十分な結果を出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年となる2023年度では,Zr,HfおよびV元素に着目し,多段階の精密酸化熱処理を施した。その結果,室温強磁性や透明成形体など特色ある酸素欠損型-超秩序構造体の作製に成功し,数多くの実験結果が得られた。また備品購入した“ひずみ解析用ソフト-PPA(Peak-Pairs Analysis)”を活用することで,本試料における超秩序構造の形態・分布状況および各種界面のひずみ分布に関して新たな知見が得られた。これら結果として,研究論文1件,国内学会発表5件(内学生受賞1件)に纏めており,多大な成果を上げることができた。そのため,順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も引き続き「バルク金属板・箔の多段階精密酸化プロセスによる超秩序構造の創製と機能特性評価」として,金属Ti・Zr・Hf板に対して,①大気中熱処理,および②申請者所有のPID式酸素分圧制御装置(分圧:1.0×10-30~1.0 atmまで可変)を用いて,昇温・降温時の酸素分圧・速度・温度・保持時間を変化させた低酸素分圧中での熱処理を組み合わせた多段階の精密酸化プロセスを実施し,酸素イオンの外向・内向拡散を制御する。さらに昨年度の試料作製に関するノウハウや経験則に基づき,対象材料として全率固溶型2元系合金および希土類元素金属にも拡充し,それら酸素欠損型超秩序構造の創製と評価にも取り組む。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)