Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
脳を包む硬膜に存在するリンパ管は、脳と免疫系の情報交換の場として着目されている。脳と硬膜は通常空間的に離れているため、脳内のグリア細胞と硬膜内のリンパ管がインターラクションするという概念は存在しなかった。申請者は、脳損傷後にリンパ管がリモデリングされグリア細胞と接するという新たな現象を見出しており、健常時には起こらないグリアとリンパ管のインターラクションが脳損傷時には起こる可能性が予想される。本研究では、そのインターラクションの詳細を明らかすることで、脳損傷時におけるグリア細胞の新たな機能を見出す。
リンパ管は脳に存在しないが、脳を包む硬膜には存在することが知られている。健常時、硬膜と脳は、クモ膜・クモ膜下腔・軟膜により隔てられており、硬膜内のリンパ管はグリア細胞と接しないため、「グリアとリンパ管のインターラクション」という概念は存在しなかった。研究代表者は脳損傷後に硬膜内リンパ管が損傷脳内へ伸長することを見出している。損傷脳内に形成されたリンパ管は、その周囲のグリア細胞と接するため、健常時では起こらない「グリアとリンパ管のインターラクション」が起こることを想定した。損傷脳内におけるリンパ管網形成という現象は過去に報告がない。そこで、頭部の透明化技術や、自身で確立した頭蓋骨ごと脳を切片にする技術を用い、本年度は基礎データの取得に努めた。リンパ管レポーターマウスであるProx1-GFPマウスや、Lyve1、VEGFR3、Podoplaninなどリンパ管マーカー抗体やCD31など血管マーカー抗体を用いて、脳損傷後におけるリンパ管の詳細な形態解析を行い、損傷脳内に形成されるリンパ管の組織学特徴を明らかにした。また、脳損傷後のリンパ管網形成のタイムコースも長期間にわたり調べた。さらに、脳損傷部位のリンパ管網周囲にグリア細胞(ミクログリアやアストロサイト)を含めどのような種類の細胞が存在し、脳変性に従いそれらの細胞がどのような動態を示すか明らかにした。そのような基礎データの取得に加え、ミクログリアや他種マクロファージの特異的操作技術の脳損傷モデルへの適用を今後の解析へ向け進めた。
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
脳損傷部位に形成されるリンパ管網とその周囲に存在する細胞群に関して、目的遂行に必要な基礎データを得た。それらの結果の一部は学会等で報告した。
当初の計画通り、ミクログリアやアストロサイトが脳損傷後のリンパ管新生に与える影響について、細胞除去モデルなどを用い明らかにする。
All 2024 2023 Other
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results) Presentation (6 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 1 results) Remarks (1 results)
J Neuroinflammation
Volume: 21 Issue: 1 Pages: 25-25
10.1186/s12974-024-03018-6
https://researchmap.jp/read0138943