不規則な温度変化に対する植物の時計システムのリジリエンス
Publicly Offered Research
Project Area | Multi-layered regulatory system of plant resilience under fluctuating environment |
Project/Area Number |
23H04197
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (III)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中道 範人 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (90513440)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥7,800,000 (Direct Cost: ¥6,000,000、Indirect Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
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Keywords | 植物 / 時計 / リジリエンス / 温度 / 概日時計 / タンパク質 / ユビキチン / 翻訳後制御 |
Outline of Research at the Start |
概日時計は様々な生理現象の発現する時刻を統御することで, 昼夜と季節への応答に重要な役割を果たす. 時計は変動する環境下でも一定のリズムを刻むことが知られてきた(周期の温度補償性)が, 温度補償性の仕組みおよび変動環境下でのフィットネスへの寄与は不明であった. 本研究では, 時計の周期温度補償性の鍵となる「温度に依存したタンパク質の質的・量的制御のメカニズム」を解明することを目指す. タンパク質レベルでの数分以内の 温度応答も含まれるため, 野外の不均一温度変化への応答を考える上で重要なメカニズムと考えられる. また変動環境下で時計リジリエンスがフィットネスに寄与する度合いを明らかにする.
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Outline of Annual Research Achievements |
概日時計は様々な生理現象の発現する時刻を統御することで、昼夜や季節への応答に重要な役割を果たす。概日時計は変動する環境下でも一定のリズムを刻むが、これは周期の温度補償性として知られてきた。一般的に、あらゆる化学反応は温度に依存するため、その法則に従わない概日時計の温度補償性は長年多くの研究者を惹きつきてきた。また温度補償性の変動環境下でのフィットネスへの寄与は不明であった。 本研究では、時計の周期温度補償性の鍵となる「温度に依存したタンパク質の質的・量的制御のメカニズム」を解明することを目指す。 我々が見出している時計タンパク質の温度依存的な量的制御に関わる因子として、ユビキチン修飾酵素を見出していた。この酵素を欠損した株を作成し、その表現型を詳細に解析したところ、この欠損株は特定の温度でのみ、該当する時計タンパク質が蓄積することが判明した。またこの酵素の欠損株は、特定の温度でのみ周期長が延長するという形質を示した。これらの結果は、本酵素が特定の温度で標的である時計タンパク質を分解し、変動する温度環境下でも一定の周期を保たせる仕組みに重要であったことを示している。 さらに、時計タンパク質の相互作用因子を複数取得することができた。これらの相互作用因子の変異体を順次、ゲノム編集技術などで作出している。ユビキチン修飾酵素の変異体の、特定の温度でのトランスクリプトーム解析を実施し、変化のある遺伝子を抽出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定を立てたとおり、時計タンパク質の相互作用因子の中から、その時計タンパク質の量的制御に関わる因子を同定することができた。興味深いことに、この因子は特定の温度条件でのみ、時計タンパク質の量的制御に関わる。この温度依存的な性質こそが、温度補償性の鍵となっていた。これ以外にも、この時計タンパク質の相互作用因子の中から、量的・質的制御に関わりそうなタンパク質を複数見出している。これらの候補タンパク質の変異体を、ゲノム編集技術で作出し、その形質を評価することで、温度補償性、あるいは別の側面での時計への関与を明らかにできると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
時計タンパク質の変異体、特定の温度でそのタンパク質の分解を制御するユビキチンリガーゼの変異体、を実際の変動する温度環境下で生育させ、フィットネスを解析する。また時計タンパク質の新たな相互作用因子の変異体を作出し、時計周期や変動する温度環境下の条件下でん形質を詳細に解析する。 これらタンパク質には、温度シグナルが入力されているはずなので、その初発の入力系を解明し、生理学的に意義のある温度受容体や受容システムを解明する。
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Report
(1 results)
Research Products
(9 results)