Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
人間が光情報から視知覚を通して得る視覚的質感の研究では、ディジタル画像が多用される。画像機器によって異なる獲得/表示画像の差異は画像信号処理によって補正され、画素構造などの画像機器が有する物理構造の違いまでは十分に考慮されてこなかった。本研究では、これまで不問であった画像機器の物理構造と画像信号、深奥質感知覚の関係について、物理構造の特性定量化と視感評価実験によって解明することで、画像機器の物理構造が質感知覚に与える影響を質感再現性能として尺度化することを目指す。
研究計画に基づいて、2023年度は、①画像機器の撮像・映像の像形成特性の獲得、②実物体の繊細な光情報の獲得、および③深奥質感知覚と画像機器の物理構造の関係解明の3点に加えて、2024年度に予定していた④多様な画像機器に対応したシミュレーション技術開発に取り組んだ。①②の研究成果:試作の計測システムを強化し、本研究で基準とするカメラとディスプレイの画像機器に対して、像形成特性をはじめとする解像・階調・色の特性を定量的に獲得した。画像機器の分光的な各特性を考慮したうえで、実物体の色を正確に画像獲得・生成する環境が構築できた。③の研究成果:画像機器の物理構造がもたらす質感知覚への影響を調査するため、様々な画像機器の物理構造から生成された画像刺激を実験刺激として、質感の視感評価実験を実施した。結果、画像機器への入力信号(画像情報)と出力される色・明るさ等が同じであっても、ディスプレイの物理構造が異なるために、質感知覚へ影響が生じ得るとの傾向が確認されている。現在は更に調査を深化させるため、被験者を増員し、関係解明の解析に必要な評価データを拡充している。④の研究成果:③で確認された傾向によって、異なる画像機器でも同等な質感に知覚させるための質感マネジメントの必要性が明白となった。カメラやディスプレイ等の画像機器が獲得・生成する質感を制御するために、主に画像の解像感をマネジメントする画像処理アルゴリズムを提案した。これにより、多様な画像機器を想定した質感のみえの画像シミュレーションも可能となり得る。有効性を簡易的に検証した結果、提案手法によって質感の印象が異なりうることが確認された。今後は、視感評価実験を進め、提案手法を応用した質感マネジメント技術の汎用化・上質化を図る。
1: Research has progressed more than it was originally planned.
「研究実績の概要」に示したとおり、当初の研究計画に従って順調に研究①~③を遂行し、来年度に予定していた④についても前倒しで取り組むことができている。
引き続き順調に計画通りに研究を遂行する。具体的には、③および④の視感評価実験を進め画像機器の物理構造との解析を進めるとともに、⑤画像機器の物理構造が質感知覚に与える影響を質感再現性能として尺度化することを目指す。加えて、最終年度となる2024年度では、研究で得た画像機器の物理構造と質感知覚の関係に関する成果、および画像処理による質感知覚の制御に関する成果について、雑誌論文や国際会議論文による公表を目指す。
All 2024 2023
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results) Presentation (6 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results)
Journal of Imaging
Volume: 10 Issue: 2 Pages: 49-49
10.3390/jimaging10020049