Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
本研究では、深奥質感認識の特異性・多様性がある自閉スペクトラム症(ASD)児を対象として、深奥質感認識の経時的変化と個人差に影響する因子を同定することが目的となる。被験者としてASD児、ASD非罹患同胞、健常児を募集する。研究代表者らが開発中の視覚入力刺激提示システムを用いた際の児の情動の経時的変化を評価し、視覚入力刺激と情動の関係から、深奥質感認識の経時的変化及び個人因子との関連を統計的に検討する。
研究代表者は研究協力者の寺田、加藤(情報工学者)と共同で、見た目を変数に応じて自在にコントロール可能なGAN(敵対的生成ネットワーク)を用いた視覚入力刺激提示ソフトを開発してきた。本研究では、研究代表者らが本研究領域公募班前期で行ってきた研究で、自閉スペクトラム症(ASD)児内でも形態により好悪が分かれることが判明している目玉焼きの画像から標準的な目玉焼きを150個選択した。ガウス過程回帰を用いて,StyleGAN2で生成した目玉焼き画像150枚の主成分空間の特徴量と,それらに対する目玉焼きの食べたさの値を使用し,個人ごとの目玉焼きの食べたさに関する効用関数の事後予測平均を求めた.ASDか否かを参加者間要因,5次元の特徴を繰り返し要因としてSHAP値に対して2元配置分散分析を行った結果,2要因間に交互作用は確認されなかった(F(1.19,22.66)=2.02,p=.168,η2p=.096).このことは,ASDの有無と特徴次元の影響が互いに独立していることを示唆した.ASDか否かについては主効果は確認されなかった(F(1,19)=2.72,p=.115,η2,p=.125).これはASDの有無が画像特徴の寄与率に影響を与えない,すなわち,ASDとTDで好き嫌いの判定に寄与する特徴が同じである可能性を示唆する.特徴次元については主効果が確認された(F(1.19,22.66)=78.52,p<.001,η2, p=.805).ボンフェローニ補正を施したペアワイズ比較の結果,特徴1の寄与率が特徴2から5すべての寄与率よりも有意に高いことが判明した(p<.001).このことは特徴1が目玉焼きの外観の好き嫌いに大きく寄与することを示唆した.
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
特徴1~5の目玉焼きへの選好への影響の寄与度が明確になった。
StyleGAN2を用いて獲得された目玉焼き画像の5次元主成分空間において,目玉焼きの構成要素が特徴1に集約されて複数存在していることが可能性として考えられた.この事実は,目玉焼き画像の生成過程における因子のもつれが存在することを示唆している.今後の研究では,もつれた状態を解きほぐし,それぞれの因子を独立した特徴として抽出することが必要となる.これにより,目玉焼き画像に対する効用関数の同定をより精密に行うことが可能になると考えられる.
All 2024 2023
All Journal Article (2 results) Presentation (3 results)
地域医学
Volume: 12 Pages: 1248-1252
発達障害医学の進歩
Volume: 34 Pages: 45-51