Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
おいしさには、風味(フレーバー)が重要な役割を果たしている。風味は、口から鼻へと抜ける香りと味の統合によって新たな質感として生じる。本研究は、電気生理学的手法と光遺伝学的手法を用いて風味の脳内情報処理機構を明らかにすることを目的とする。具体的には、げっ歯類の風味弁別課題を構築し、その課題遂行時に見られる風味に重要な内側前頭前野(medial prefrontal cortex, mPFC)の神経細胞の応答特性を解明すると共に、光遺伝学を用いて、感覚入力からmPFCへの神経回路が風味知覚に及ぼす影響を明らかにする。
風邪をひいて鼻が詰まったときに、食べ物がおいしくないと感じる経験がよくある。一般的においしさというものは、味覚だけで決まるものだと思われている。しかし、ヒトが食べ物をおいしいと感じるためには、味だけでなく、食物の香りや舌に触れた食感などを含めた統合的な質感が必要である。その中でも、食べ物の香りと味によって作られる風味(フレーバー)という質感がおいしさを感じるためには重要である。特に、風味の主役は、口の中から鼻へと抜ける香りである。そのため、鼻が詰まっている状態では、風味を感じることができず、おいしさを感じることができない。おいしさを生み出す脳内情報処理は、風味という質感情報から事物の多面的な生態学的な意味や価値を計算する過程を表し、深奥質感処理として考えられる。これまでの風味研究は、ヒトを対象として行われてきた。ヒトの磁気共鳴機能画像法(fMRI)を用いた研究では、摂食行動に大きく関与し、認知や価値表出に関わる脳の内側前頭前野(medial prefrontal cortex, mPFC)が風味知覚の際に重要な領域であることが明らかとなっている(Shepherd GM,2011)。しかしヒトを対象とする実験は非侵襲であることが必須であり、脳の神経細胞の活動を時間・空間分解能が高い方法で直接計測することができず、また、神経回路に直接介入することもできないという問題があり、神経回路機構を明らかにすることが困難であった。風味知覚におけるヒトでの研究の問題点を打破するために、私はげっ歯類を用いて風味研究を行う。げっ歯類を用いることで、ヒトでは出来なかった個々の神経細胞の活動を時間・空間解能が高い方法で直接計測や、脳の特定部位に対する興奮や抑制などの直接的介入することが可能となる。本研究の目的は、げっ歯類を用いて風味知覚時の脳内処理機構を神経細胞レベルで明らかにすることである。
令和6年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Journal Article (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 2 results, Open Access: 1 results) Presentation (18 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results, Invited: 4 results)
日本味と匂学会誌
Volume: 31(2) Pages: 158-165
iScience
Volume: 27 Issue: 2 Pages: 108924-108924
10.1016/j.isci.2024.108924