Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
複雑な構造における精度と計算コストのトレードオフを解決し、ナノスケール描像に基づいた物性理解を可能にするシミュレーション技術として、機械学習ポテンシャルに注目する。機械学習ポテンシャルをより高性能化するために、本研究では結合長や角度に基づく記述では抽出できない特徴をトポロジカルデータ解析、特にパーシステントホモロジーを応用して抽出することを行う。局所構造の変形に伴うパーシステント図の変化とエネルギーの変化の相関解明を行い、原子・分子のダイナミクスのシミュレーションに応用することを目指す。
トポロジカルデータ解析を物性予測に結びつける試みを進め、パーシステントホモロジーから得られた情報を機械学習モデルの入力にすることで、アモルファス物質のポテンシャルエネルギーを予測する手法を開発した。特に、パーシステントホモロジー群の計算過程で得られる、サイクルの生成時刻と消滅時刻を2次元散布図の形で表現したパーシステンス図の活用に注力した。構造の情報から機械学習モデルによってポテンシャルエネルギーを予測する機械学習ポテンシャルでは、予測結果について、座標系の回転・並進や同種原子の入れ替えといった対称操作に対して不変性が要求される。アモルファス物質の構造から得られるパーシステンス図は、これらの対称操作に対して不変であるという特徴を持つため、機械学習ポテンシャルの入力に適していると考えられる。これを実証するために、アモルファスカーボンについて、第一原理計算を用いて様々な構造とエネルギーのデータセットを作成し、パーシステンス図を畳み込みニューラルネットワークの入力とすることを試した。その結果、従来の機械学習ポテンシャルと同程度の精度でエネルギーの予測が可能であることが確認できた。さらに、パーシステンス図が抽出している構造特徴の特徴量空間における分布が、グラフニューラルネットワークで抽出されているものと類似していることが判明した。
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
機械学習ポテンシャルへの応用可能性を実証することができたため、概ね順調に進展している
今回の研究では1種類の元素のみが含まれる材料を対象としていた。実際の材料では複数の元素が含まれる場合が多い。複数の元素が含まれる場合にも、同様にして機械学習ポテンシャルの入力にパーシステンス図が使えるか、また、従来型の機械学習ポテンシャルの補助入力としてパーシステンス図が用いられるかを探る。
All 2023
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results, Open Access: 1 results) Presentation (4 results) (of which Invited: 3 results)
The Journal of Chemical Physics
Volume: 159 Issue: 8 Pages: 084101-084101
10.1063/5.0159349
固体物理
Volume: 688 Pages: 17-28