Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
魚や鳥などの群れが形成する自己駆動粒子集団は、その集団としての形を時々刻々と変えながら機能します。この自己駆動粒子集団の形態変化を捉える有効なアプローチとして計算トポロジーを用いて解析する方法が知られていますが、動画像データからトポロジカルな特徴を定義通りに抽出しようとすると多大なコストがかかります。そこで、本研究ではヒトが持つ高度な視覚情報処理に基づく計算モデルを参考にして、動画像からトポロジカルな特徴量を効率的に求めるニューラルネットワークを構築し、多変量時系列解析にも応用できるよう位相的データ解析を拡張します。さらに、集団運動の崩壊を予兆する早期警戒シグナルを構成する方法を提案します。
本年度は、D'Orsogna(2006)らが提案したMorse型ポテンシャルを持つ自己駆動粒子集団モデルで発生する様々な群れパターンを定量的に捉えるために、パーシステントダイアグラムから推定されるパーシステントイメージ(Adams et al 2017)に基づくトポロジカルな特徴量の抽出解析を行なった。その結果、リング、クラスター、凍結、トーラス、スウォーム(カオス)の各種のパターンを分類することに成功した。そして、モデルのポテンシャル形状に関するパラメタを変化させたたときの群れパターンの変化について、t-SNEなどの多様体学習を用いて低次元空間に可視化する方法を提案した。その結果、従来のオーダーパラメタでは捉えづらい巨視的パターンの変化をt-SNE空間上の相図として表現することができた。また、従来の研究ではスウォーム状態と考えられていた群れパターンが、実際には過渡的な現象で長時間後にはトーラス状態に収束することがわかった。この過渡運動の持続時間の粒子数依存性およびモデルパラメタ依存性についての解析を行った。その結果、この超過渡カオス現象であることが示唆された。ただし、現段階ではこの結果は明確でない。以上の結果を、2月にErfurtで行われた研究会( 25th seminar "Pattern Formation in Chemistry and Biophysics")において口頭発表を行なった。また、本科研費に関連するテーマとして、外場に駆動された自己駆動粒子集団が表現する情報処理能力に関して、群れ運動をリザバー計算の資源として利用する研究を行い日本物理学会において口頭発表した。
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
海外の研究会で発表するなど、一定の成果を得ることができた。ただし、当初の目的の一つである機械学習と組み合わせたトポロジカルな特徴量の自動抽出の研究は進展していない。
本年度で得られた成果についてさらに解析結果を蓄積し論文としてまとめる。また、機械学習と組み合わせたトポロジカルな特徴量の自動抽出の研究を行う。そして、群れパターンを自己組織的に誘導する新たな制御法に向けた研究を推進する。
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