Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
ミルクオリゴ糖には様々な結合様式と重合度のものがあり、その構造的多様性こそが数多の生理機能を発現する基盤となっている。一方、ミルクオリゴ糖を模倣する市販の「人工」オリゴ糖の構造的多様性は乏しい。本研究では、申請者独自のタンパク質工学技術を駆使したオリゴ糖合成酵素の機能改変を通して、人工オリゴ糖の構造的多様性を高めることで、次世代型プレバイオティクスの生産基盤を構築する。
本年度は、①分岐型結合に特異性をもったオリゴ糖合成酵素の開発、②グリコシルアクセプターの多様化、の2つの方向性で研究を進めた。①分岐型結合に特異性をもったオリゴ糖合成酵素の開発人工低分子抗体モノボディ(Mb)を利用する独自の酵素機能改変技術「Enzyme Engineering by Proxy」を用いることで、β-galactosidaseの特異性を直鎖型β-1,4から分岐型β-1,3へと改変できることを見出している。直鎖型から分岐型への改変度合いは70%近くを実現しており、さらに、酵素自体には全く手を加えていないために比活性への影響はなく、GOSの収量低下も見られない。今年度は、β-galactosidaseとGOS、β-galactosidase/Mb複合体、β-galactosidase/Mb複合体とGOS、の3つの構造決定に成功し、Mbが特異性を改変する分子機序を解明した。現在、同じβ-galactosidaseを対象に他の分岐型β-1,6への改変を試みている。②グリコシルアクセプターの多様化Aspergillus fijiensis由来β-fructofuranosidaseを対象に、低カロリーでありながらプレバイオティクスとしての機能も期待されている糖アルコールに焦点を当て、フラクトシル化を検証した。その結果、Maltitolにおいて新たなオリゴ糖の産生が確認された。NMR解析とMALDI-TOF/MS解析から、従来のFOSとは異なる3糖のフラクトシル化マルチトール(F-Mal)を特定した。その新規性は、SciFindernに未登録ということからも裏付けられた。純度95%以上のF-Mal溶液の調製にも成功し、現在はヒト腸内細菌叢モデルを用いてプレバイオティクス機能の評価を進めている。並行して、他のグリコシルアクセプターに対する反応性の検証も継続している。
1: Research has progressed more than it was originally planned.
上述の通り、①分岐型結合に特異性をもったオリゴ糖合成酵素の開発と、②グリコシルアクセプターの多様化、それぞれにおいて成果が得られており、特に②においては新規オリゴ糖の開発を初年度に達成できたことから、当初の計画以上に進展していると判断した。
①分岐型結合に特異性をもったオリゴ糖合成酵素の開発β-galactosidaseを対象に他の分岐型β-1,6への改変に取り組むとともに、Aspergillus fijiensis由来β-fructofuranosidaseを対象に直鎖型β-2,1から分岐型β-1,6への改変を試みる。②グリコシルアクセプターの多様化初年度とは異なる種類の糖アクセプターに対する反応性を検証し、引き続き新規オリゴ糖の開発と機能性評価を進めていく。
All 2024 2023
All Journal Article (5 results) (of which Peer Reviewed: 5 results, Open Access: 3 results) Presentation (13 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results) Patent(Industrial Property Rights) (4 results)
Protein Science
Volume: 33 Issue: 4
10.1002/pro.4961
Protein Sci.
Volume: 32 Issue: 12
10.1002/pro.4813
Nature Communications
Volume: 14 Issue: 1 Pages: 4073-4073
10.1038/s41467-023-39807-5
Journal of Biological Chemistry
Volume: 299 Issue: 8 Pages: 105009-105009
10.1016/j.jbc.2023.105009
日本農芸化学会誌『化学と生物』
Volume: 61 Pages: 274-280