Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
分子アニオン化合物である金属カルボジイミド化合物(MNCN)は「内圏型超セラミックス」に分類され、低熱膨張や負の熱膨張など結晶構造の特異的な温度依存性を示す材料が幾つか存在する。しかし、カルボジイミドイオン(NCN2-)と結晶構造の温度変化メカニズムは明確にされておらず、その制御方法にも明確な指針がなかった。従来の合成手法では複金属カルボジイミドの材料探索が困難だった為である。本申請課題では、特殊雰囲気による分子アニオンの改変反応を駆使して、複金属炭酸塩から新規複金属カルボジイミドを合成し、熱膨張と結晶構造、特にカルボジイミドイオンとの関係を明らかにする。
分子アニオン化合物である金属カルボジイミド化合物(MNCN)は「内圏型超セラミックス」に分類され、低熱膨張や負の熱膨張など結晶構造の特異的な温度依存性を示す材料が幾つか存在する。しかし、カルボジイミドイオン(NCN2-)と結晶構造の温度変化メカニズムは明確にされておらず、その制御方法にも明確な指針がない。従来の合成手法では金属種ごとの反応性が異なることで、複金属カルボジイミドの合成が困難であり、複金属化による新規カルボジイミドの材料探索は未開の研究領域といえる。本申請課題では、申請者独自の特殊雰囲気による分子アニオンを作り変える合成手法を駆使して、複金属炭酸塩から新規複金属カルボジイミドを合成し、熱膨張と結晶構造、特にカルボジイミドイオンとの関係を明らかにすることを目的とする。2023年度は、既存のカルボジイミド化合物を複金属化した化合物を合成し、その結晶構造の温度および圧力変化を調査した。Mnを添加したシュウ酸Znを前駆体としてアンモニア気流中でカルボジイミド化することで、Mn添加ZnNCNを合成した。ZnNCNがc軸方向に-4.2×10^-6 K^-1の負の熱膨張係数を示し、Mnを4at%添加することで熱膨張係数の絶対値が増加することを明らかにした。新規直方晶Ba0.9Ca0.1NCNを合成し、Ba0.9M0.1NCN(M=Ca, Sr)におけるカルボジイミド化合物の圧力相転移を初めて実証した。その相転移圧力はバリウムカルコゲン化合物における類似の相転移圧力よりも約1桁小さく、粉砕程度の加圧でも相転移が生じることを示した。カルボジイミド化合物に関する研究成果を4件投稿論文として発表した。共同研究は11件実施中であり、研究成果を2件投稿準備中である。
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
本研究では、申請者独自の複金属炭酸塩をアンモニアで窒化しアニオンをカルボジイミドイオンに改変する反応で新規カルボジイミド化合物を合成し、その熱膨張率とカルボジイミドイオンとの関係を明らかにすることを目的とする。2023年度は複金属炭酸塩を用いた新規複金属カルボジイミドの合成と結晶構造の温度変化を明らかにすることを目指した。Mn-ZnおよびMg-Znのシュウ酸塩を原料としてアンモニア気流中加熱することで、MnおよびMg添加ZnNCNが得られることを見出した。特にZn炭酸塩を原料に用いるとZnOが残留することが判明し、炭素含有量が多い前駆体を窒化することが必要だった。領域内共同研究により測定した放射光XRDの温度変化から導出した熱膨張率はZnNCNで-4.2×10^-6 K^-1であり、Mnの添加でその絶対値が増加した。また、 (Ba,Ca)CO3前駆体から新規直方晶系Ba0.9Ca0.1NCNを得た。Ba0.9M0.1NCN(M=Ca, Sr)において、カルボジイミド化合物の圧力相転移を初めて実証した。アニオン改変反応を用いて新規複金属カルボジイミド化合物を合成し、結晶構造の温度や圧力変化を明らかにしており、当初計画通りに研究が進捗している。
2024年度は、カルボジイミド化合物の負熱膨張メカニズムの解明に着手する。ZnNCNについて中性子回折と中性子全散乱を複数の温度で測定し、平均構造と局所構造の両面から負熱膨張メカニズムを明らかにする。これらのデータ取得および解析は領域内共同研究をベースに進める。解析結果の妥当性について、計算科学からの検証も同時に進める。新規カルボジイミドの合成に関して、Liを含む複金属カルボジイミドに着目して物質探索を進める。特にLiと2価金属を組み合わせた化合物の合成例は無く、カルボジイミドイオンによる大きな空間を有する結晶格子が予想されLi+イオン伝導が期待できる。2023年度の予備実験でLi-Znの組み合わせで新規化合物の生成を確認しており、2024度の共同研究で構造解析および熱膨張率の測定、イオン伝導性の評価を進める計画である。以上により、様々な組み合わせの複金属カルボジイミドを創製し、熱膨張などの物性とカルボジイミドイオンの関係を明らかにする。
All 2024 2023 Other
All Journal Article (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 4 results, Open Access: 2 results) Presentation (14 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results, Invited: 4 results) Remarks (1 results) Patent(Industrial Property Rights) (1 results)
Progress in Solid State Chemistry
Volume: 73 Pages: 100440-100440
10.1016/j.progsolidstchem.2024.100440
Journal of the Ceramic Society of Japan
Volume: 131 Issue: 9 Pages: 565-568
10.2109/jcersj2.23094
Materials Letters
Volume: 346 Pages: 134555-134555
10.1016/j.matlet.2023.134555
Computational Materials Science
Volume: 226 Pages: 112202-112202
10.1016/j.commatsci.2023.112202
https://www.eng.hokudai.ac.jp/labo/strchem/index.html