Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
超セラミックス結晶の柔軟化を目指し、設計指針の提案、機能性への展開を行う。応力刺激に柔軟な結晶は、これまで中性の有機分子または金属錯体からなる分子結晶で研究されており、ここ五年で急速に発展してきたが、中性分子故の機能性の限界に直面しており、新たな材料群を用いた柔軟結晶の開発が求められる。そこでイオン結晶としての側面が強い物質に分子性を取り入れた、超セラミックスによる柔軟結晶を開発し、分子設計指針を提案するとともに、高機能結晶材料として展開する。結晶工学・分子科学・固体化学の境界領域開拓により滞りつつある柔軟な結晶分野に新たなブレークスルーを期待する。
本研究では、超セラミックス結晶の柔軟化を目指し、設計指針の提案、機能性への展開を目的とした。「弾性変形」や「塑性変形」が可能な、応力刺激に柔軟な結晶は、これまで中性の有機分子または金属錯体からなる分子結晶で研究されているが、中性分子故の機能性の限界に直面しており、新たな材料群を用いた柔軟結晶の開発が求められる。そこで新材料として期待できる超セラミックス材料に着目する。イオン結晶としての側面が強い物質、有機無機ハイブリッド材料に分子性を取り入れることで、柔軟結晶の形成を期待し、高機能結晶材料として展開する。その分子設計指針として平面性が高くπ共役系分子カチオンを導入した有機無機ハイブリッド材料に着目し、結晶柔軟性の向上が可能か検討した。ナフタレンジイミド骨格を有する有機カチオンを用いた有機無機ハイブリッドの針状単結晶において、外部応力に対して柔軟な弾性応答性を確認した。更にナフタレンジイミド骨格に由来したメカノクロミック特性、伝導性、光熱変換特性などこれまでの柔軟結晶で成し得なかった多機能性が観測され、高機能超セラミックス結晶の開発に成功した。
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
1年目にこれまでほとんど報告例のなかった、有機無機ハイブリッドを用いた弾性柔軟結晶の開発に成功している。更にナノインデンテーション、万能試験機による力学特性の定量化、発光測定、伝導度測定、光熱変換特性、理論計算など、領域内の研究者との共同研究により様々な物性測定を行い、柔軟な超セラミックス材料における新たな知見を得ることが出来た。現在論文としてまとめている段階である。また自身の柔軟結晶を提供することで、領域内研究者と更なる応用について研究を進めている。
1年目は、弾性変形可能な超セラミックス結晶の創製に成功したが、もう一つの曲げ様式である塑性変形に関しては達成できていない。塑性結晶は、物質の機能性を損なうことなく形状を自由に成形できるため、フレキシブルデバイス応用のため注目されている。中性の有機分子を用いた構造解析により、塑性結晶開発のための分子設計はほとんど明らかとなっているが、有機無機ハイブリッド結晶において適用できるか検討されていない。従って、有機無機ハイブリッドにおいて分子性を導入することで、柔軟な相互作用形成による塑性結晶開発を目指し、その分子設計および機能開拓を行う。
All 2023
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (10 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results)
Dalton Transactions
Volume: 52 Issue: 30 Pages: 10531-10536
10.1039/d3dt01822a
Crystal Growth & Design
Volume: 23 Issue: 12 Pages: 8972-8977
10.1021/acs.cgd.3c01014