Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
本研究では、行動経済学的手法・複数のモダリティーのMRI・反復性経頭蓋磁気刺激法に機械学習などの解析技術を組み合わせることでこれまでの研究を発展させ、発達障害における注意動態と社会行動の関連について更なる病態理解を目指す。特に、外側前頭前野、側頭頭頂接合部を中心とした神経ネットワークに着目し、注意機能の脳動態シフトとともに、意思決定や行動選択、社会場面での表情がどのように変化するかを検証し、発達特性の観点から社会行動の変容に関するメカニズムを明らかにすることを目指す。
これまでの一連の研究結果より、多様な社会的場面を柔軟に対処するには、注意や物の見方の維持・切り替えを適切に行う機能、その神経基盤として背外側前頭前野と側側頭頭頂接合部を中心とする神経ネットワークが、重要な働きをしていることが示唆され、発達障害における社会行動の特徴と深く関わっていることが示唆されている。本年度は、被験者への説明文書、同意書、必要書類の準備、作成などを行い、自閉スペクトラム症(ASD)群、注意欠如多動症(ADHD)群および定型発達(TD)群のリクルート体制を構築した。また、先行研究に関する文献検索、関連学会に参加することで情報収集し、注意動態、社会行動に関する課題、表情評価課題や質問紙を作成した。その上で、多職種から構成される研究チームで議論を重ね、課題の洗練を行なった。加えて、複数のモダリティーのMRI撮像(構造MRI、課題fMRI、安静時fMRIなど)におけるパラメータを選定した。加えて、ASD群とTD群の注意の切替と共感性・感情処理に関するfMRI実験の解析を行った。結果として、注意の切替機能に重要な脳領域の一部が、共感性や感情処理能力に重要な働きをしていることが示唆された。引き続き、ASD群・ADHD群・TD群を対象に、注意動態、社会行動に関する課題、表情評価課題を行い、行動データ、表情感情解析値、複数のモダリティーのMRI画像パラメータ(安静時脳活動、灰白質体積および白質線維の統合性など)との関連を評価する。さらに、反復性経頭蓋磁気刺激法(rTMS)を組み合わせることで、その因果関係についても検証することを予定している。これにより、注意動態の観点から社会行動を多面的に検討していきたいと考えている。
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
全体として、概ね予定通りに進んでいる。
自閉スペクトラム症、注意欠如多動症、定型発達群を対象に、注意動態、社会行動に関する課題、表情評価課題を行い、行動データ、表情感情解析値、複数のモダリティーのMRI画像パラメータ(安静時脳活動、灰白質体積および白質線維の統合性など)との関連を評価する。さらに、反復性経頭蓋磁気刺激法(rTMS)を組み合わせることで、その因果関係についても検証し、注意動態と社会行動の関係を多角的に考察する。これにより、発達障害の理解の向上、新規個別化治療の発展を目指した基盤作りを行なっていきたいと考えている。
All 2023
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)
Journal of Psychiatric Research
Volume: 164 Pages: 322-328
10.1016/j.jpsychires.2023.06.035