慢性疼痛の中枢性感作による行動変容の神経機構解明
Publicly Offered Research
Project Area | Deciphering and Manipulating Brain Dynamics for Emergence of Behaviour Change in Multidimensional Biology |
Project/Area Number |
23H04673
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (III)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
西丸 広史 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (20302408)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
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Keywords | 疼痛 / 感覚情報処理 / 高次脳機能 / 運動 / 情動 |
Outline of Research at the Start |
ヒトの慢性疼痛の多くは難治性であり、うつ病などの気分障害を合併することが多い。その患者ではモチベーション(意欲)が低下し日常生活に支障をきたすことが大きな問題になっている。本課題では慢性疼痛および抑うつ症状を再現できる実験モデルマウスにおいて、動機付け行動の学習およびその遂行中に、動機づけに重要な前帯状皮質と側座核、運動実行に重要な第二次運動皮質と背側線条体の二つの大脳皮質-大脳基底核ネットワークから広範囲に多数の神経細胞の活動を測定・解析する。これにより動機付け行動の学習と遂行への慢性疼痛による行動変容について、情動と運動の二つの神経回路における情報表現を明らかすることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、申請者らが確立した自発的に歩行運動を開始し感覚キューを手がかりとして報酬の情報を得る報酬獲得課題を学習中及び学習を完了したマウスにおいて、多次元の行動パラメータ(運動(歩行速度)、注意(瞳孔径)、報酬期待(リッキングのタ イミングと頻度)を測定解析した。学習の過程で、1)リッキング開始のタイミングが報酬獲得後→自発歩行開始後→聴覚キューの提示後と変化すること、2)歩行運動がキューの提示後報酬獲得に向けて、減速するように制御されるように変化することが明らかになった。また学習完了後、リッキングの開始と歩行の減速のタイミングに正の相関があることを見出した。 慢性疼痛の発現に深く関連していることが知られている前部帯状皮質を含む背内側前頭前野のニューロンの活動をGABA受容体作動薬のムシモールの局所投与により薬理学的に抑制すると、この課題の成功率が有意に低下し、行動パラメータが変化することを明らかにした。興味深いことに報酬期待を示すリッキングの開始と速度低下の相関関係が崩れたことから、報酬情報に基づいた運動制御にこの領域が重要な役割を担っていることが示唆された。また持続的な疼痛を 引き起こすパクリタキセルを投与したマウスにおいて、この課題成功率が低下し、課題遂行中の歩行速度や報酬期待を示すリッキングが低下す ることを見出した。これらの結果は、慢性疼痛が動機付け行動に重要な神経回路の機能障害に関与していることを示唆している。またこれと並行して、マウスの一次体性感覚野に光遺伝学的な操作を加えることで疼痛行動が誘発されることを見出した。これらの結果を国内外の学会において発表もしくは今年度発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
報酬獲得行動課題で検証するための慢性疼痛の疾患モデル動物および行動課題とそのなかで測定する行動パラメータを確立し、行動変容の特徴を抽出することができた。さらにこの変容に関連した脳内における領域を薬理学的な検証によって明らかにすることができた。また疼痛情報処理に主な役割をになっているとされる一次体性感覚野に光遺伝学的な操作を加えることで疼痛行動が誘発されることを見出し、今後このモデルマウスで行動変容の際の神経活動記録を行う上での準備も整ったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
疾患モデルマウスと対照群である健常マウスにおいて、上記でその役割を明らかにした脳領域から広範囲に神経活動を記録する。得られたデータをもとに、個々の領域における運動情報表現と領域間の機能的結合を統計学的・計算論的推定を用いて明らかにする。 特に前頭前野と辺縁系回路における情報表現と行動変容の関係を調べるため、疼痛モデルマウスと対照群の辺縁系回路にそれぞれ記録電極・プローブ を慢性的に埋め込み、行動課題の学習と遂行について、多数のニューロン活動の同時記録を行い、行動と神経活動を解析する。また、これらの領域間の結合の役割を明らかにするため、光遺伝学的手法および化学遺伝学的手法を用いて個々の領域内のニューロンと領域間を結合するニューロンの活動を人為的に操作してネットワークの機能を明らかにする。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)