Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
オペラント学習の進行に伴って、強化される行動が目的指向行動と習慣行動の間で揺れ動く行動変容を題材に、動物の行動発現メカニズムを心理・神経の両面から探る。これまで、繰り返し同じ行動が強化されることで、目的指向行動から習慣行動へと移行すると考えられてきた。しかしその描像は一定ではない。訓練過程おける習慣・目標指向行動の行動変容の構造を、齧歯類・霊長類を含む複数の動物種自由行動下で定量的に観測・分析する。また、行動動態を再現するアルゴリズムの側面から大脳皮質・大脳基底核を含む神経回路の計算過程の予測を行い、学習中の神経表現変容と行動変容との神経相関を明らかにする。
動物(マカクザル・ラット)が、様々な強化スケジュールを経験し目的指向行動と習慣行動を発現しながら学習してゆくダイナミクスを、連続的な運動計測と多点電極による自由行動下での神経活動とを同時に計測することによって明らかにすることが本研究の目的である。本年度の実績は下記である。(1)ラットのオペラント実験のデータ解析について、DeepLabCutを用いてトラッキング可能であることを示し、ラットの動作と静止を時間的に分離する手法を確立した。それを用いて動作を階層クラスタリングを行い、その結果、学習後半において定型的な行動が出現する様子を確認した。(2)ラットと同様にサルの動作をDeepLabCutをもちいて、トラッキングすることに成功している。簡単なヒトとの視線合わせ課題において、顔と目の方向を算出することができることを確認した。(3)オクルージョンを回避するために、多数のカメラで同期した画像をキャプチャする簡易システムを構成し4台までのシステムで120fps @ shutter 1msecで連続撮影を行うシステムを構築した。今後上記の動物行動を複数カメラから3次元で再構成する準備を進め、次年度の神経活動記録に備える。(4)2段階選択課題において、習慣的なモデルフリー強化学習のような行動を示すのか、それとも目的指向的なモデルベース強化学習のような行動を示すのかを分離できる課題設計を行い、シミュレーションに基づくそれらの学習戦略の切り替えの最適化について理論的研究および、ヒトの行動実験での研究を行なった。これらの結果は、サルに行わせる行動課題とその解析に応用される。
3: Progress in research has been slightly delayed.
当初共同研究によって齧歯類の行動についての追跡実験について論文発表を行うよていであったが、共同研究が困難となった。しかし、基礎的な自由行動についてのビデオ撮影技術、解析方法などの確認はとれたため、齧歯類ではなく霊長類の行動についての研究に移行する計画である。
実験室において、複数カメラによる3次元再構成手法を確立し、サルの手足・顔・目の方向をトラッキングする。次に、埋め込み型電極を、手足の運動と意思決定に関わる皮質領域(例えば、運動前野前部、背側前頭前野など)に埋め込み、自然な自由行動下における複数の神経活動記録および局所脳波(LFP) を計測する。次年度に、単純なオペラント課題を用いて、その学習中の脳活動をとらえ、目的指向行動から習慣行動への変遷と、さまざまな状況におけるその切り替えの神経メカニズムを明らかにする。
All 2023
All Presentation (2 results)