花粉管の持続的な先端成長を保障する時空間発現調節原理
Publicly Offered Research
Project Area | Genomic dynamics underlying the plastic hermaphroditism in plants: the basis of exploratory reproductive adaptations. |
Project/Area Number |
23H04751
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (III)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
元村 一基 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 准教授 (50844049)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥10,400,000 (Direct Cost: ¥8,000,000、Indirect Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 花粉管 / RNA / 時空間遺伝子発現 / 翻訳 / シロイヌナズナ |
Outline of Research at the Start |
花粉管は、雌しべ内部を伸長して胚珠へと辿り着く。その胚珠への旅路の中で、花粉管は雌組織由来の“方向制御”や“種間障壁”に関与する多様なシグナル分子に応答して成長を制御する。本研究では、この花粉管の持続的な成長をつかさどる未知の分子メカニズムを説明するために、「時空間的な転写後遺伝子発現調節原理」モデルを提唱する。そして、このモデルを実証するため、“花粉管核酸ライブイメージング系”を創出する。
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Outline of Annual Research Achievements |
花粉管には“RNAから効率よく翻訳して細胞機能を維持する独自のシステム”が存在することが予測される。また幾つかの植物では、両性花における自殖あるいは他殖をRNA分解酵素が規定することが知られており、花粉管中のRNAの運命は、様々な側面から両性花の生殖戦略に影響している。そこで本研究では、複数のRNA観察・解析新技術を開発して、シロイヌナズナ花粉管中の「時空間レベル」でのRNA制御機構について解析する。そして得られた花粉管細胞内部のRNA動態の知見から、花粉管の先端成長能力を分子レベルで解明するとともに、両性花の生殖戦略におけるRNA研究の基盤技術を確立することを目的とする。 両性花において、花粉は雌しべに出会うまで長時間細胞活動を休止するが、雌しべに出会い吸水するやいなや、短時間での発芽を実現する。この驚くべき状態変化には、転写非依存的な翻訳が重要であることが明らかとなっており、その実現には何らかのメカニズムが存在すると予想される。我々は休止状態の花粉でRNAを保持するメカニズムを研究するため、Pボディー (PB)に着目した。PB構成タンパク質を吸水直後の花粉中で可視化したところ、多量の顆粒構造が確認できた。しかし時間が経つにつれPBは徐々に減少した。今後、発芽時の翻訳状態について解析を進める予定である。 一方花粉管伸長に関する実験では、発芽後の花粉管に薬剤処理する実験系を確立し、花粉管伸長での翻訳の重要性を調査した。実験の結果、発現阻害された花粉管は短時間で破裂してしまうことが明らかとなった。この結果より花粉管中のRNAレベルの発現制御の重要性が示唆された。現在は生きた花粉管でのRNA可視化技術に取り組んでおり、薬剤・あるいは蛍光タンパク質の2種類の手法で、技術確立に成功しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究は当初の計画通り進行しており、特に花粉管のRNA制御機構に関する理解が進んでいる。新たに発見された、核を持たない花粉管が長時間伸長できる現象により、花粉管内に特有のRNA翻訳システムが存在する可能性が浮かび上がった。この知見は、従来の花粉管の成長制御に対する理解を深めるものである。 また、開発された新技術によって、シロイヌナズナ花粉管内のRNAの動態を観察することが可能になりつつあり、RNAがどのようにして花粉管の成長に影響を与えるかの具体的なメカニズムの解明が進んでいる。特に、発芽と伸長の過程でのRNAの制御において、花粉管の成長における重要なステップの理解を進める上で貴重なデータが得られる可能性が高い。 また、Pボディーに焦点を当てた研究では、休止状態の花粉が活動を再開する際の転写非依存的な翻訳の重要性が示唆された。 これらの研究成果は、当初の計画に沿ったものである。それに加えて、総説論文を一本執筆するとともに、花粉管伸長に関するプレプリントを発表した。更にこれらの研究成果が評価され、日本植物形態学会より奨励賞を受賞することができた。これらの成果より、本研究は当初の計画以上に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、花粉管のRNA制御機構の解明に注力しており、これまでの成果を基に次のステップへと進めていく計画である。特に、花粉管内でのRNAの動態とその制御が花粉の発芽と伸長にどのように影響を及ぼすかの詳細な解析が必要である。 まず、新たに開発中のRNA観察・解析技術の精度をさらに向上させることが重要である。これにより、より詳細な時空間的なデータを得ることができ、RNA制御機構の解明に必要な詳細な情報が得られるはずである。 次に、RNA制御機構が花粉管の伸長と発芽に及ぼす影響をより広範囲に調査する。また、RNA制御機構と花粉管の相互作用を理解するために、生化学的および分子生物学的アプローチを強化する。これには、特定のRNA分子がタンパク質とどのように相互作用し、その結果花粉管の細胞機能がどのように変化するかを調査する実験が含まれる。 最後に、得られたデータの解析と共有を促進するために、領域内研究者との協力を積極的に模索する。異なる研究背景を持つ研究者との知識交換を通じて、新たな視点や技術を研究に取り入れることが可能となる。これらの取り組みを通じて、花粉管のRNA制御機構に関する包括的な理解を目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(15 results)